コートを離れてもバスケットは自分の一部
引退後にはやりたいことがたくさんある。まずは今年12年目を迎える3人制バスケットボールチームTOKYO DIMEの運営に本腰を入れて規模の拡大を図ること。次に子どもたちにバスケットを教えるスクール事業のクオリティを上げていくこと。「なにしろ子どもたちがすんごーく可愛いんですよ。1人でも多くの子どもたちに出会うためにもこの事業を育て、将来日本有数のバスケットスクールにするのが夢です」
スクール事業には教育の一環としての側面もあるが、それとは別に広い視野から『人間形成』を考える座学の場も作ってみたい。引退後の選手を対象にしたキャリア支援事業も取り組みたいことの1つだ。そして、今後は社会福祉の分野を学びたい気持ちも強い。
「先述したように僕には朔玖(さく)という障がいを持った息子がいますが、彼の写真や動画をSNSに載せて、その存在をオープンにしていることには賛否両論あると思います。親のエゴだろと言われたらそのとおりなのかもしれません。でも、僕は息子のような障がいを持つ子どもは世の中に一定数いて、全然珍しくないと思っているんですね。一般的な子どもと比べたら人生の選択肢が少ないのは確かですが、障がいを持っているのは特別なことじゃなくて、恥ずべきことでもない。なのに世の中では障がいがあるというだけで(その子の存在に)蓋をしたり、隠そうとしたりする傾向があります。それって違うと思うんですよ。僕は障がいがあったって彼なりに精一杯生きてる息子をみんなに見てほしい。知ってほしい。だから、同じようなお子さんを育てている親御さんから『朔玖くんの元気な姿に励まされた』というようなメールをいただくと素直にとてもうれしいです。隣にいる息子に『おまえもちゃんと誰かの役に立ってるじゃん』と言ってみたりして(笑)。そういった経験のあれこれが社会福祉事業に目を向けるきっかけになりました。ただ、ひと言で福祉事業と言っても当然容易ではなく、今はいろんな情報を採集している段階。それを基に自分も学んでいかねばなりません。頑張りますよ。せっかく息子が縁をつくってくれて、せっかく僕も当事者になれたんですから(笑)」
コートを降りたというのに「やりたいことが満載」の岡田の毎日は以前にも増して忙しい。「20代のころは徹夜で作業しても平気だったのに今はダメ。知らない間に寝落ちしちゃってます」と、体力低下を嘆くことばも飛び出すが、その顔はなぜだかとても楽しそうだ。