毎年のことながら、今の時期はシーズンが閉幕して間もないようにも感じられつつ、Bリーグは7月1日を以てシーズンが切り替わり、ほとんどのクラブが既に新メンバーで始動している。B1での1シーズン目を終えた越谷アルファーズは、新シーズンに向けたビジョン発表会見を7月14日に実施し、例年通りに新加入の日本人選手5人も同席した。
その1人である三ツ井利也は、特別指定選手時代も含めて9シーズン過ごしてきた信州ブレイブウォリアーズの退団が決まって以降、引退も頭をよぎっていたが、そこに越谷からのオファーが届いた。無念のB2降格から1年を経て、三ツ井は個人でB1復帰を果たした格好だ。
「思いがけないタイミングで退団が決まったというのも正直あるので、冗談抜きで引退も考えた中で、バスケットができる喜びだけでなく、B1でプレーできるチャンスをもらえたことが単純にありがたかったというのと、こういう表現が正しいかどうかわからないですが、拾ってもらった越谷に少しでも貢献したいと思って決めました。さらにレベルが高くなったB1で自分にどういうプレーができるか、どれだけ通用するのかチャレンジできる良いチャンス。楽しみとかワクワクのほうが大きいです」
信州は越谷と入れ替わる形でB2に降格したが、2019-20シーズンまで遡るとB2中地区で顔を合わせている。このシーズン、最終的にB2全体首位の成績を残し、初めてB1ライセンスも手にして昇格を叶えた信州に対し、B3からの昇格初年度だった越谷は、大塚商会の社員と二足のわらじを履く選手が多数を占める状況。結果としてはB2の洗礼を浴びた格好になってしまったが、そこから着実に強化され、プロクラブとして地域に根づいてきているのは、外から見てきた三ツ井にもはっきりと感じられるようだ。
「以前B2で対戦したときはBリーマンがすごく印象的で、選手と話をしたときも『明日9時から仕事だよ』って言ってて大変だなって思ったんですが、プロ化が進んで安齋(竜三)ヘッドコーチも来て、シーズンを重ねてどんどん成長してきてると思います。チームのレベルもそうですし、ファンの皆さんの勢いが上がってきてるというのを感じます。地域の皆さんと密接につながろうとしてるのは、僕が信州でやってきたことでもあるので、9年間の経験を還元できるんじゃないかなと思ってます」
三ツ井が信州で地域との接点を大事にしてきたのは、三ツ井自身が長野県出身の地元選手だったということが大きな動機であったことは間違いないだろうが、プロバスケットボール選手としての活動を通じて地域との結びつきの大切さを知り、それに支えられたという実感を強く持っているというのが最も大きい。プロ入りから9年過ごした故郷を離れても、「新しい土地でのつながりもまた良い縁」と言って地域密着を強く意識する。
「移籍したからといってそこの熱量は変わらないですし、愛すべき地域が長野から越谷に変わるというだけ。僕は越谷では全然知られてない存在なので、これから越谷エリア、埼玉全域に応援してもらえる選手を目指したいです。地域の皆さんとのつながりを大事にしていきたいですし、アルファーズのチームや選手が憧れになったり、アルファーズがあるから頑張れると思ってもらえるような組織を目指していきたい」