一昨シーズンのプレーオフ制度導入により、争いがさらに激化しているB3リーグ。今シーズンも、その面白さがよく表れたシーズンだった。上位クラブがプレーオフを見据え始めた頃、急上昇してきたのが山口パッツファイブ。3月に入って5連勝を記録し、3月23日は2位の東京ユナイテッドバスケットボールクラブを撃破。連勝するとクラブ史上初めてプレーオフ圏内に入るという同28・29日のしながわシティバスケットボールクラブ戦も、GAME1に19点差の快勝を収めると、GAME2は残り1分の5点差を追いつき、オーバータイムで勝利してついに8位に浮上した。
しながわシティとのGAME1の後、主軸の山口力也は「自分たちのやりたいバスケットが、ディフェンスからできてると思います。みんなが自分の役割を理解して、チームのためにプレーしてるのが結果につながってると思いますし、良い意味で自信がついてるので、これを継続して本物の力にできるように、気を緩めずにやり続けるだけです」と引き締まった表情で語った。翌週はホームでアースフレンズ東京Zに連勝し、3月2日からの11試合で10勝1敗という快進撃。そのまま8位でプレーオフに駒を進めている。
迎えたプレーオフの相手は、レギュラーシーズン1位の横浜エクセレンス。GAME1で前半3点リードからの逆転負けを許した山口は、ここから思わぬ逆境にさらされる。第2クォーター残り7分に負傷し、その後試合に出なかったアンテイビオン・コラムがGAME2出場不可。さらに、GAME2当日の朝にフレディ・マックスウェインJr.が「アキレス腱が断裂するおそれがある」としてドクターストップがかかってしまった。山口は、負ければシーズン終了となる一戦を、外国籍選手2人を欠いて戦わなければならなくなったのだ。
しかし、山口は第1クォーターで23-17とリードを奪うと、第2クォーターもアグレッシブなディフェンスで相手のターンオーバーやシュートミスを誘発し、43-38とリードを保って折り返す。「ファウルトラブルに気をつけていた」というブレイク・プレストンも、前半はノーファウルでしのぐことができた。
ただ、第3クォーターは早くもチーム全体に疲労が見え始める。高さの不利は如何ともし難く、前半から横浜EXには多くのオフェンスリバウンドを許していたが、この10分間だけで9本を奪われた。それでもクォーターを終えた時点で1点ビハインドにとどめたのは、前半のディフェンスを継続でき、要所でファウルを上手く使うこともできたからだ。
そして第4クォーター、疲れているはずの山口が勢いに乗る。吉川治耀が持ち味のディフェンスで脚を動かし続け、オフェンスではプレストンがペイントエリアで体を張る。富田一成がドライブで得点し、横浜EXにタイムアウトを取らせた残り6分2秒、山口は8点リードを奪っていた。
ところが、すぐに最大のピンチが訪れる。残り5分40秒、速攻で一直線にアタックしたプレストンがオフェンスファウルを犯し、これが5つ目のファウルとなってしまった。1秒もベンチに下がらず、16得点10リバウンドに加えて6アシスト2スティールも記録していた大黒柱のファウルアウト。その後、吉川や富田も4ファウルとなる間に、横浜EXに逆転を許している。