B3にプレーオフが導入された2022-23シーズン、岩手ビッグブルズはセミファイナルで横浜エクセレンスを下してB2復帰を決め、その後B3優勝も果たしている。その岩手がB3に舞い戻ってきた今シーズンは開幕当初から横浜EXが首位に立ち、岩手は4位と立場が逆転。第21節の直接対決を連勝した横浜EXは、対戦成績を4戦4勝とした。72-67で制したGAME2の試合後、2シーズン前まで岩手で過ごし、昨シーズンからは横浜EXの一員となっている谷口淳に振り返ってもらった。
「岩手は僕も在籍してましたし、2シーズン前の因縁の対決というか、相手もすごく熱意を燃やしてくるのはわかってたので、この2日間プライドをかけてお互い気合いが入ってたと思います。岩手は物事をしっかり遂行してくるチームで、今日の前半は読み合いでうまくいかないこともあったんですが、後半は相手のインサイドがいなかったというのもありますし、僕らがインテンシティーを高く保てたというのもあって、ディフェンスで掴んだ勝ちかなと思います。ただ、本番はプレーオフ。この順位のままでいくと、昇格をかけた大勝負の相手は岩手になるので、それも視野に入れながら、残りのシーズンはこのチームが大切にしてるものを緻密に積み上げていけたらと思います」
横浜EXは得点力がリーグ内で突出しているオフェンスのチームだが、この岩手戦の時点で36試合を消化しても4敗しかしていないのは、1試合平均失点が70点を切ろうかというディフェンスも一因だ。2ケタ得点が1度しかなくても、外国籍選手をマークできるディフェンス力を持つ谷口は一定の出場時間を確保できる。この岩手戦GAME2も、第3クォーター終盤にコートに戻ると、ベンチに下がらないまま試合終了を迎えている。
「僕の一番の仕事はディフェンスだと思うので、どの試合もディフェンスファースト。岩手みたいにアウトサイドに上手い選手がいるとみんなで助け合っていかないといけない中で、今日は最低限のエナジーを持ってこれたかなというのはあります。オフェンスはリズムを掴めてないですが、シュートが入らないことは今までも経験してますし、僕がシュートを打つのをためらってるのを心配して声をかけてくれるチームメートもいるので、長いシーズンは目先の数試合で焦らず、最後にプレーオフでバシッと決められるようにリズムを取り戻していきたいです」
経験値が高く、仕事人としての評価も得ている谷口は、昨シーズンまでとは異なる戦略に「どっちかというと難しいなと思うことが多い」と言いつつもしっかりアジャストし、チーム内に浸透させることも意識している。
「うちはみんながある程度フィーリングでやっているというか、その場の状況に応じて臨機応変に対応してることが多いので、システマティックなプレーが多い岩手とは真逆だと思うんですよ。彼らはパスする方向が決まってて、僕がディナイすることでトラブルになるんですが、組織で一つの共通認識があるというのはメリットでもある。逆に僕らは自由度が高い分、リアクションが取れる人でないと試合に出られないんですが、IQは上がる。誰がどういうプレーを好むかというのは試合を重ねるごとにデータとして積み重ねていけてるので、プレーオフに向けて良いケミストリーができてるんじゃないかと思います。新しい選手も合流しますが、チーム内のコミュニケーションを促せるようにというのが年齢的にも自分の役割なので、そういうところでも仕事をして引退したいと思います」