B3第20節のしながわシティバスケットボールクラブ戦、そのGAME1で新潟アルビレックスBBは80-87で敗戦。5位以下の争いが混戦模様の中、順位を6位から1つ上げるチャンスだったが、逆に7位に落とした上、しながわシティに1ゲーム差に迫られた。
この試合では、冨岡大地が第1クォーターに左手の指を負傷し、ベンチに下がるアクシデントも発生。年明けからスターターに定着しつつある冨岡の不在も痛手だった。しかし冨岡自身は、コートに立っていた時間帯に貢献できなかったという感覚が強かったようだ。
「こういうアクシデントはあることだと思うし、その中でも自分のパフォーマンスを出さないといけないし、自分が持ってる武器で戦わないといけないし、ポイントガードとしてコートの上で頭を働かせてプレーしないといけないと思います。今日は負けてしまったので、仕事はできなかったかなと思います」
今シーズンの冨岡は開幕戦に3秒出場した後、その翌日から1カ月近くはベンチに入ることもできなかったが、11月以降は安定して20分前後に出場し、2ケタ得点も5試合あった。シーズン序盤の苦戦から徐々に順位を上げてきたチームと、成長曲線がリンクしている印象もあり、その意味でもチームに一定の影響を与える存在となっている。
「最初はプレータイムがないところから、ベンチから見ていて必要だと思った自分の仕事を練習から準備して、ちょっとずつ試合に出られるようになった。今はプレータイムを得られた状態なので、もう1ステップというか次のステップとして、与えられた仕事プラス、チームに貢献できるところを探してやっていかないといけない段階だと思います」
冨岡のプロキャリアを紐解くと、広島経済大在学中に入団した広島ライトニングは、bjリーグに1シーズン所属しただけでクラブが消滅。愛媛オレンジバイキングスと東京サンレーヴスを経て、3シーズン在籍した金沢武士団では得点源の一角となった。しかし、どのクラブも環境面で恵まれていたとは言い難く、特に金沢は成績も振るわなかった。
新潟への移籍でB1の舞台に立つことはできたものの、当時はアマチュア選手としての契約で、通訳も兼任。しかも、シーズン途中で一旦選手契約解除の憂き目に遭っている。クラブ自体がB3に舞台を移したとはいえ、チームの主力という立場を確立しようとしている今の状況は、冨岡にとって大きな飛躍と言っても差し支えないだろう。復権を期す新潟にとっても、這い上がる力が試されるシーズン。その観点でも、冨岡は今シーズンの新潟を象徴する選手ということが言える。これまで常に携えてきたハングリー精神が、冨岡から失われることもない。
「自分のパフォーマンスには全然納得してないし、もっとできることがある。キャリアを重ねる中で『ここはステップアップできたな』と思うところは自分の中でもあるんですが、めちゃめちゃ活躍してきたかというとそんなこともないと思うので、満足することなくというか、満足は一つもしてないですし、今まで通りサボることなくやっていきたいですね。
金沢のときもスタッツは良かったんですが、チームは勝ってなかったし、今までは自分が試合に絡んでる状況でチームはめちゃめちゃ負けてました。B1のアルビに入れてもらってちょっとずつ学んで、今はB3ですけど昨シーズンまでと比べると勝ち星が先行してるので、試行錯誤しながら自分の役割やスタイルを見つけられてる途中だと思ってます」