1年での返り咲きを果たしたものの、滋賀レイクスは再びB1の厳しさを痛感しているところだ。第20節の相手、川崎ブレイブサンダースも中地区最下位と苦しんでいるが、そのGAME1は今シーズンの川崎が志向するトランジションバスケットが機能し、前半だけで66得点。滋賀も後半はやや点差を詰めることができたが、最終的には105失点、23点差で敗れる結果となった。下位に沈むチームにまず求められるのは熱量。その大前提が見えてこない現状に、田原隆徳の口ぶりも重くなる。
「滋賀レイクスとしても、川崎さんとしても負けられない戦いだったと思うんですが、前半で30点差つけられては勝てない。離されて、そのままズルズルいって自分たちのバスケが遂行できなかった。気持ちの部分も戦術も全て、自分たちが準備してきたことができなかったのが悔やまれます。プロバスケットボール選手としてやるべきことをやれなかったのが大きかったなと思います。
ミーティングでは、自分たちも川崎さんもこういう立ち位置で、自分たちのほうがエナジーを持って戦うということを言ってたんですが、正直こういうことはもう何回も言ってきて、シーズンを通して同じことを繰り返してる。これはもう一人ひとりの自覚の問題だと思うし、コーチの言うことを遂行できないというのも、自分が何も言えなかったこともそれだと思います」
今シーズンの滋賀は、新たにLake Upリーダーなる役職を新設し、田原がその任に就いた。クラブの発表によれば、「従来のオフコートキャプテンを継承しつつ、『今日より明日を素晴らしいものに』を集約した『Lake Up』を率先して体現していく」のがその役割。常にエナジー溢れるスタイルの田原は適任と言うほかなく、もちろんこの日もチームを鼓舞することを第一に考えて試合に臨んでいた。
「自分はディフェンスからエナジーを出してプレーする人だし、川崎さんのホームでレイクスのブースターさんがこれだけ応援してくれて、それは絶対に心がけないといけない。点差が離れていてもプロバスケットボール選手としての姿勢を見せることを徹底するという意志は少し見えたのかなと思うんですが、それは後半だけなので満足はしてないです。
勝つために誰がどう行動するか、チームとして強くなっていくか。個人個人のモチベーションがこの状況で上がったり下がったりする中で、1人ひとりに声をかけることも、チーム全体で話すこともしてますが、一番は自分の行動で、背中で見せるのが良いのかなと思って、やり続けていきたいです」
B2優勝を果たした昨シーズンのメンバーは、眞庭城聖が引退してGMに転身したほか、7人の選手が移籍。ヘッドコーチをはじめコーチ陣も入れ替わるなど、B1復帰初年度としては難しい状況だったことも確かだ。ただ、滋賀がB2からの再起を図るタイミングで加入した田原にしてみれば、昨シーズンとの最も大きな違いは意識の部分。思えば、昨シーズンも序盤はやや苦しみ、試合を重ねるにつれて結果が伴ってきたのだ。