西地区8位の滋賀レイクスと中地区8位の川崎ブレイブサンダースが対戦した2月1日、今シーズン33試合目。3勝しか挙げられていない滋賀にとって、「今の最下位から次の順位に行くための唯一の方法であり、そのためには絶対に今日の試合に勝たなければいけない。それによって可能性が広がっていく」と前田健滋朗ヘッドコーチは士気を高めた。しかし、序盤から川崎の勢いを止められず、第1クォーターで30失点を喫し、滋賀は12点のビハインドを背負った。続く第2クォーターでは11点のランを許し、前半を終えて35-66。31点差をつけられ、アメリカのスポーツサイトESPNであれば勝つ確率99.9%が川崎側に表示される。筆者はその憂いや嘆きを今シーズン味わい続け、滋賀の状況を他人事とは感じられずにいた……。
ワシントン・ウィザーズを愛し続けて32シーズン目。2月3日現在、7勝41敗、勝率14.6%。滋賀より少し勝ち星は多いが、カンファレンスはもとより、NBA全体でも最下位に位置する。毎試合ラジオ中継を聴き、ESPNのゲームキャストで戦況を追いかける。名物実況が得点すると「Score! Oh! It’s There!!」と絶叫するが、戦況は大差が負けており、ぬか喜びさせられる。第1クォーターや前半で20〜30点差をつけられ、ESPNが相手側の勝率99.9%を示す。愕然とする中でも、今シーズンは希望の光が射している。
ビラル・クリバリやアレックス・サー、バブ・キャリントンなど、アメリカではまだ飲酒できない21歳以下の若手が多く、チームの平均年齢は24.8歳。サラリーが最も高く、次代のリーダーを担うジョーダン・プールもまだ25歳と若い。そんなキッズグループが猛者に挑み、あきらめることなく戦い続けている。2023年、沖縄で開催されたFIBAワールドカップで格上と対戦し、同じように前半で点差をつけられた日本代表だが、トム・ホーバスヘッドコーチは「後半の20分間は1点でも勝とう」と発破をかけた。同様に、後半の得点だけを抜き出せば、相手を上回るケースも少なくない。若く経験の浅いウィザーズにとって勝利が特効薬だが、1試合の中で少しずつ成功体験を積み重ねながら成長が感じられる。
川崎戦の前半で大差をつけられた前田ヘッドコーチは、ハーフタイム中に選手たちの士気をどのように高めたのだろうか?
「31点差をどう巻き返すかは自分たち次第だと話した。第3クォーターが始まったときは、3分で5点ずつ縮めたいとも伝えて後半に入ったが、そこは難しい状況になってしまった。第4クォーターはとにかくボールを奪いに行く。ある程度リスクを取ってでもボールを奪いに行くことを選択した」