B3リーグ第17節GAME2、岐阜スゥープスが新潟アルビレックスBBに対して鮮やかな逆転勝利を収めたことは、先に公開された高橋快成の記事でもお伝えした通りだ。序盤から終始ダブルスコアのペースのまま40点差で敗れた前日の試合とは打って変わり、岐阜は我慢を重ねて粘り強く戦い続けた。そこには、小林康法ヘッドコーチによる選手たちへの働きかけがあった。
「昨日はメンタル的に崩れてしまったんですが、これだけ多くのSWOOPYの皆さんが応援してくれてる中でこういうゲームを見せてはいけないということをチームに話して、1人ひとりが持ってるものをコートに出して戦おうということをテーマに挙げました。特に高橋快成と卜部兼慎がルーズボールに飛び込んだシーン。そういう部分で本当にタフに戦えたことによって、戦術の部分も自信を持って選手たちが取り組んでくれたと思います。
自分たちらしくやれている試合は結果が出ていたので、それを出すだけ。うちの選手はみんな仲間思いだし、盛り上げることは上手なんですが、それぞれが自分に火をつけること、自分でコントロールしてメンタルの良い状態でプレーするというところが課題だったので、そこにプライドを持って、バスケットの局面でうまくいくかいかないかは気にしなくていいから、自分の持ってるものをコートで表現してきてほしいと試合前に声をかけて、なるべく前向きに選手が取り組めるような環境を作ることは意識しました」
小林HCが挙げた第3クォーターのルーズボールの場面は、チームのムードだけでなく会場全体の空気を一瞬にして変えた。いかに観衆を味方につけるかが問われるホームゲームにおいて、岐阜の選手のひたむきなプレーはブースターの心を動かし、その熱がまた選手の背中を押した。岐阜のホームゲームは、B1やB2のクラブにも劣らない会場の一体感があり、チームとブースターに相乗効果が生まれる理想的な環境となっている。
「あの場面でチームにさらに勢いを与えて、選手のもう一歩を後押ししてくださったのがSWOOPYの皆さん。本当に岐阜の皆さんは温かいです。正直、昨日のような試合をしていたら『応援してください』って言いづらいところもあったんですが、それにもかかわらず今日会場に来て声援を送ってくれたことに感謝しかないですし、岐阜一丸となってる印象があります」
前週も同じ岐阜メモリアルセンター・で愛ドームでホームゲームを開催し、2日間で5000人近い動員を記録した。その数字を「皆さんからの期待値」と受け止めている小林HCは、「相手もあることなので必ず勝利を届けるということは約束できませんが、今日みたいな姿は自分たち次第で見せることができますし、そういう姿があればどんなときも皆さんが後押ししてくれる。昨日のような試合がないように、良いエネルギーを持って戦おうと思います」とブースターの存在を大きなモチベーションにしている。