今シーズンのB1は中地区が大激戦区という前評判が高かったが、過去2シーズン続けて優勝チームを出してきた西地区も相変わらず混戦模様だ。第14節までの各クラブ24試合で、10勝に到達しているのが6チーム。これは東地区の4チーム、中地区の5チームを上回り、西地区のレベルの高さを物語っている。
昨シーズン17勝43敗で西地区最下位に沈んだ京都ハンナリーズは、第13節までに11勝11敗の勝率5割。西地区のカオスを生んでいるチームの1つと評しても差し支えないだろう。アウェーで臨んだ第14節の相手、越谷アルファーズは4連敗中ながら全て1ポゼッション差、それも各地区の1位または2位との対戦だったとあって、京都としては簡単ではない相手のはずだった。しかし、京都は得点を2試合とも90点に乗せ、GAME1は8点差、GAME2は16点差をつけて連勝。着実に地力を増していることを証明する結果となった。
アウェーの越谷戦には、特別な想いで臨んだ選手がいた。在籍2シーズン目を過ごしているラシード ファラーズだ。関東2部の東洋大から日本代表候補にも名を連ねたことがあるファラーズは、バスケットを始めたのが越谷西高に在学中のことだった。今回の会場となった越谷市立総合体育館はかつて高校の試合が行われることも多かったため、ファラーズにとっては久しぶりの凱旋だった……と思いきや、「実はこの体育館は使ったことないんですよ。ウイング・ハット(春日部)とか高校の体育館が多くて」とのこと。「3年生のときに、ここにアルファーズ(当時大塚商会)の試合を見に来たことはあって、そのときはBリーグがまだなかった頃で、お客さんも100人ちょっとくらいだったと思います」と、そのコメントにはやや隔世の感もあるが、ファラーズが高校3年ということは今から9年前。その間に日本バスケット界全体が急速に発展し、大塚商会から生まれ変わった越谷アルファーズも地域に根づいた。ファラーズはコート上から見た光景をこのように振り返っている。
「すごい不思議な感覚でしたね。遠征で地元に帰ってくること自体も僕の中では不思議な感じで、なおかつ高校時代の仲間や地元の友達も見に来てくれた中でプレーするというのも不思議なことだったんですが、普段より気合いが入って頑張れました」
Bリーグが誕生したのが、ファラーズが大学1年のとき。その2年後に、アルファーズが地域密着型クラブとして本格的に始動した。大学卒業後のファラーズは千葉Jを経て今に至っているが、越谷の動向は常に気にかけ、B1昇格を願っていたという。
「一昨年のシーズンもそうだったんですが、昨シーズンのプレーオフはめっちゃ応援してました! セミファイナルはずっと(中継の)画面を見ながら盛り上がって、勝つのを見たときに、『これでやっと戦える』というのと『対戦がアウェーだったらいいな』というのは思いましたね」
今シーズンのファラーズは第12節までの時点で13試合出場しているが、出場時間は最長で6分22秒に過ぎなかった。しかし、第13節の広島ドラゴンフライズ戦で12分33秒に出場すると、越谷との第14節は2試合合計で20分59秒。広島戦からジョーダン・ヒースが欠場していた影響もあったとはいえ、越谷とのGAME2はヒースが復帰した中で11分32秒の出場時間を得た。ロイ・ラナヘッドコーチも、ファラーズの良さは十分に知っている。