「やっぱりいまの若い選手たちにはもっともっと自分の発信であったり、自分の個性みたいなところを出していってほしいなっていうのは感じているところではありますかね。
時代的にも出る杭は打たれるじゃないですけど、いろんな発信が揚げ足を取られてしまったりだとかSNSで誹謗中傷を受ける対象になってしまって、そういったものを出しづらい世の中にはなってるかなと思うんですけど、それでもやっぱりやれることはあると思うんです。リーグがあって当たり前で、給料をもらえるのが当たり前で、バスケだけしていればいいんでしょ、っていうマインドの選手ばかりになってしまうのは少し危惧しているところはあるんですよね。
だからそこはいつでも、ビッグスポンサーに逃げられちゃったらリーグとして存続できるのか、それだけでは危ないよ、っていう話だったり、お客さんがいなくなればチケット代が減るからクラブの収入も減るし、みたいなリーグの仕組みであったりとか、現状をちゃんと理解する選手が増えて、その上でやれることにトライしてくれる選手がたくさん増えることを願ってはいます。」
競技の人気が上がれば競技力そのものが向上していく。
世界的なメジャースポーツにおいて結果を出すためには、競技力以外にも目を向けなければ目的は果たされない。
スポーツ選手はどこか職人的な振る舞いを求められることも往々にしてあるが、それだけで高いレベルに到達できるのは身体的に、感覚的に著しく恵まれた一部の人間のみだ。
バスケット力を向上させる鍵は、バスケット以外のところにあるといってもいいのかもしれない。
「これだけNBAの選手が輩出されたりして、世界中から日本のバスケがいま注目されていて、だからこそ有望な外国籍選手や外国籍コーチが来てくれています。コートの中のレベルはめちゃくちゃ高くなっていると思うし、バスケットに対する情熱というところでいうとすごくいいスパイラルでいま回っているんじゃないかと思います。
だから、バスケットだけやってりゃいいんでしょう、みたいなふうにならないでほしいなっていうのが僕の願いですかね。」
バスケットをやっているだけではない選手の代表格、これまでの様々なトライによってリーグを牽引してきた篠山。
彼にはまだやり残していることはあるのだろうか。
「もちろん、リーグの優勝。」
篠山が加入して以降これまで輝かしい時代を築いた川崎だったが、天皇杯王者にはなっていてもBリーグの制覇はまだ果たせていない。
もちろんそれはそうなんだが「もっとこう、なんかあるじゃん」と思って少し待ってみたら、ちゃんと発注どおりの納品があった。
「あとはしいていうなら、オールスターとかで空を飛んでみたいっていうのがやり残していて。オールスターを沖縄で開催したときとかに、沖縄アリーナってハーフタイムに小さい気球みたいなのが飛んでるじゃないですか。ああいうのに乗れないのかな、とか。なんかアイドルやアーティストみたいにワイヤーとかで空を飛んで入場できないのかな、とかは夢としてはあったので、やり残していることといえばそれかなと思います。」
関係各位、次回のオールスター及びそれに準ずる興行の際には何卒ご一考願います。
篠山竜青はどう生きるか(後編)へ続く
文 石崎巧
写真 B.LEAGUE