「昔から知ってる体育館だし、雰囲気もいいですよね。僕らの代は全国ベスト4以上が目標で、県内では大差で勝って当たり前。ユキ(鈴木HC)とピック&ロールをやれば簡単にズレができて、2人ともいっぱい点が取れたので面白かった。彼の首振りフェイクからの1対1は当時の鉄板で、それも思い出すと懐かしいですね」
当時はまだ国内プロリーグが存在せず、2人にとっては自身のバスケットのキャリアも全く将来像を描けない時代。日本のバスケットのステータスが上がり、発展を続ける中に身を置くことができている今の状況に、2人は感謝する。
「ミニバスのコーチや神奈川に住む知り合いの方々も応援に来てくれて嬉しかったですし、2年前にアウェーで来たとき以上に湘南のブースターさんの盛り上がりが大きく感じられました。2試合ともクロスゲームだったからというのもあったと思うんですが、この湘南地区でクラブの認知度が上がってることもすごく嬉しかったですね」(鈴木HC)
「高校の同級生がプロのコーチとして対戦できるというのは、なかなかないですよ。今は外国籍のコーチもたくさん来るようになって、僕より優秀な人でもこの仕事ができてない人が何人もいる中で、お互いに恵まれた環境でやらせていただいてるということなので、感謝の気持ちしかないですね。だからこそ、日本のバスケットの強化に少しでも貢献できればと思います。今シーズンからB3もバスケットLIVEの配信がありますし、見てもらえる機会は増えた。このチームは土地柄を考えてもポテンシャルがあると思うので、もっと知ってもらえるように地道に活動していきたいです」(堀田HC)
この第8節は、互いに外国籍選手1人がインジュアリーリストに入るなど、どちらも故障者を多く抱えた状態で迎えた上、木・金曜の開催だったということもあり、「お互いにゲームプランは大きく変えられないだろう」(鈴木HC)という中での対戦だった。その中で「湘南はボールピックでヘッジを使ってきたり、3-2のゾーンからマンツーという変則的なディフェンスもやってくるので、そこだけは僕たちもしっかり練習してきたんですが、そのどちらもほぼ使わずにやってきたので、裏をかかれたなと思いました」と鈴木HCが言えば、堀田HCも「条件は相手も同じですが、前の週の疲れが残ってたので練習もそんなにできなかったですし、スカウティングの準備もいつもより少なくて、もう少し時間が欲しかったです。ピックのところで強烈にハードヘッジしてくるのを予想して、その対策はしてても、今日の後半それが増えたときに自分たちが上手くオフェンスを展開できなかったのも敗因の1つ」と漏らす。指揮官の立場でその駆け引きや読み合いも楽しみつつ、「3月にまたアウェーで対戦があるし、プレーオフで戦うチャンスもある」(堀田HC)と今後の対戦を今から心待ちにしている。3月は、プレーオフの8枠を巡る争いも佳境を迎えているはず。現在2位につける岩手はもとより、勝率5割ながら6位とプレーオフ圏内に入っている湘南も、ここから態勢を整え、再戦の際は万全の状態で激しく争うことを期待したい。
文・写真 吉川哲彦