「体のコンディションを上げ、シュートもいっぱい打ちました。昨シーズンはシュート率(25.4%:16/63本)があまり良くなかったので、その練習を集中的に行っていました。あとは、もうちょっとハンドリングができるように、いろんな練習をしてきました」
ポール・ヘナレヘッドコーチは、ワイリーについて「チームのベストディフェンダーである白濱(僚祐)選手がケガで離脱している現状だが、彼がこのチャンスを自分のものにしながら順調に成長できている」と評価する。「チームには得点力がある選手がいっぱいいるので、今はディフェンスに集中しています。ディフェンスとリバウンドをまずはがんばって、プレータイムを伸ばしていきたいと思っています」とワイリー自身も理解し、与えられた役割を全うしながら信頼をつかんでいく。
11月最初の宇都宮ブレックス戦では、Wエースであるディージェイ・ニュービルと比江島慎を相手に、次々とマッチアップしていた。「ニュービル選手のようなMVPプレーヤーを1人では止められないことは分かっています。まず自分の仕事をして、抜かれても後ろの4人が助けてくれるという考えで集中してディフェンスをしていました」と11月2日の初戦は、出場していた10分49秒はマッチアップしたエースたちに得点を与えていない。結果は58-72と14点差で敗れ、島根が終始追いかける展開だった。そのため出場時間の得失点がマイナスになる選手が多い中、納見悠仁とともにワイリーは+2を記録。フリースローを1本落とし、速攻を決め切れなかったのが悔やまれ、実質+5の活躍だった。
ディフェンスに期待するのはワイリーだけではなく、昨シーズン中からヘナレヘッドコーチはチーム全体の課題として指摘し続けていた。相手に100回攻撃された場合の平均失点を数値化するディフェンスレーティングではリーグ15位と低迷し、チャンピオンシップ出場にあと一歩届かなかった。シーズン開幕からディフェンスの改善が早くも数字に表れている。宇都宮戦の前までは、ディフェンスレーティングが99.6とリーグ2位。むろん、西地区首位として(8勝)1敗しかしていなかったことで、当然その数字も良くなるものだ。連敗した宇都宮戦後、102.1と失点が上がったがリーグ4位と上位グループを維持し、昨シーズンの110.5より失点を抑えられている。その一役を担っているのがワイリーの成長であり、飛躍の2年目が期待される。
今、大学時代に見てきたプレースタイルとは異なるが、「まだ2年目の若い選手なので、まずはディフェンスからプレータイムを勝ち獲って、そこからオフェンスでも活躍できるようになれれば良いかなと思っています」とワイリーは慌てていない。昨シーズンとは打って変わって毎試合コートに立ち続けており、プロとして戦う装備を一つずつ集めている。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE