日本語と英語を巧みに使い分けるキャプテンシー
中学時代、大阪代表としてジュニアオールスターで日本一になった。名門・洛南高校へ進み、その後はアメリカに渡る。転校しながらステップアップを図り、2021年からNCAAディビジョン2のブルーフィールド州立大学でプレー。河合ヘッドコーチは「あの身長(165cm)でアメリカへ行き、ディビジョン2と言っても日本人が簡単にプレータイムを得られるレベルではない。その中で、アシストでは全米ランキング3位に入った。また、あってはならないことだがアジア人としての差別はあり、しかも低身長にも関わらず、チームのキャプテンを任された。それを踏まえても彼は正しい努力ができる選手であり、しっかり意見を言えることを評価している」と #33 杉山裕介の次に若い25歳に、横浜EXでもキャプテンを託した。
日本でもアメリカでも学生時代は常にチームの中心におり、「戸惑いはなかったです」と大橋は受け入れる。しかし、移籍してきたばかりであり、不安がないわけではなかったが、「すごく良い経験になると思い、自分の自身の成長につなげていければ良い」と決断し、コート内外で存分にキャプテンシーを発揮する。日本語と英語を巧みに使い分け、横浜EXでも常に中心に立っている。
「アメリカを経験してきた自分が、メインとなる外国籍選手と日本人選手の間に入ってコミュニケーションを取れれば良いと思っています。試合中でも練習中でも、何かあればすぐにハドルを組んでみんなで喋って、悪かったところをしっかりと改善できるようにしています。また、今のバスケの主流は1対1が多くなっていますが、それをどうチームとしてまとまって守るかが大事になります。みんなで同じ方向に向かって意思疎通を図っていくことをもっと突き詰めていければ、もっと連勝を伸ばして、B3優勝そしてB2昇格という目標にも近づいていけると思います」
ターンオーバーの少なさが大橋大空の武器
今シーズンこれまで10試合を終え、大橋のターンオーバーはたった3本しかしていない。バスケはミスが起きるスポーツであり、ボールを触る機会が多いポイントガードがゼロで終わることも難しい。しかし、ターンオーバーなく終わった試合は7回を数え、湘南戦はいずれもゼロだった。「ボールを運んだり、チームのオフェンスをはじめるポジションでもあるのでターンオーバーをしないように、ミスしないことがチームをまとめていく上でも、ポイントカードとしてもすごく大事になります」と高い意識を持ってボールを離さない。仲間も対戦相手も大きな選手ばかりのアメリカで、信頼を勝ち取るためには得点力で特化するか、またはミスなく勝利に導くことができるかが、小さい選手が生き残る道でもある。ブルーフィールド州立大学時代のスタッツを見れば、2021-22シーズンは平均32.2分出場、ターンオーバーは平均2.1本。翌ラストシーズンは平均23.1分の出場、平均1.2本。昨シーズン、B1の島根スサノオマジックでプロデビューを果たし、通算10試合・14分の出場ではあったが、ターンオーバーは1シーズンを通して2本しかしていない。大橋はミスなきプレーでチャンスをこじ開けてきた。