「3ポイントシュートは練習どおり打てており、練習では入っているがなかなか試合では決まっていません。昨シーズンの3ポイントシュート王になった比江島(慎)も開幕戦は0/7本だったし、そんなこともあるのであまり気にせず、入らなくても打つべきシュートは打ち続けたいです」
宇都宮ベンチ前、左コーナーから思いきって3ポイントシュートを放つ。しっかりとデザインされ、ほぼノーマークで打ち切っていた。島根との初戦は1/4本だったが、2戦目は2/2本で100%の確率で成功させた。「今はもう日本人ビッグマンとマッチアップする機会がゼロ」と言うように、ディフェンスでは常に外国籍選手と身体を当て続け、日常から世界基準を体現する。その姿に、日本代表に復帰する日も近いのではないかと期待してしまう。
事実、先日発表された日本代表候補の同じポジションと比較しても、平均出場時間はジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)の31分52秒に次ぐ、21分1秒。年明け1月には40歳を迎えるが、この原稿を書いているときに流れてきたラジオからアンミカさんが『年齢は背番号である』と仰っていた金言が耳に刺さる。毎年1つずつ増やすことができる勲章であり、アスリートにとって大きな番号を背負える選手も限られる。17年間変わらぬ準備を続けるだけではなく、3ポイントシュートでは成長が見られており、トム・ホーバスヘッドコーチの目にふたたび止まる日も近そうだ。
洛南高校の先輩であり、アイシン(現・三河シーホース)でルーキー時代からともに戦ってきた比江島慎から見て、「公輔さんは経験がものすごくあり、バスケIQも高いのでポジショニングのミスがほぼないです。合わせるのも上手いですし、ディフェンスでもしっかり身体を張ってくれるので、この年齢になっていますけどすごいなって思います」と一緒にコートに立つ安心感がある。2度のオリンピックに出場し、30歳を過ぎてようやく安定した活躍を見せはじめた後輩の印象も聞いてみた。
「知り合ったときから上手かったです。スキルに関しても、はじめてみたときに『これからすごい選手になるな』とは思っていたので、今の活躍に対して何も驚いていないです。ディフェンスに関してはすごく良くなっているし、成長しています。彼は身体能力が高いですし、リバウンドも獲れる。今日(島根との初戦)もニック・ケイ選手に対して勝負どころですごく良いスティールをしたことで試合を決めたと思っています。ディフェンスの成長は、僕が言うのもあれですが、すごく意欲的に取り組んでいると思います」
比江島の普遍的な部分として、「あいかわらずリーダーシップの部分ではもうちょっとできるんじゃないかなと僕は思っていますけどね」と竹内は指摘し、ホーバスヘッドコーチら多くの関係者から同意見は聞かれている。それもまた比江島であり、日本代表引退をほのかしながらベテラン風を吹かしているが宇都宮を、日本を先頭に立って引っ張って行くのはこれからである。日本が誇るビッグマンはまだまだ健在であり、縁の下の力持ちとしてエースを支えている。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE