新体制となった今シーズンは「みんなで得点を取っていくスタイル」岡田雄三
ティップオフ前に、Bリーグでは珍しい国歌斉唱があるベルテックス静岡のホームゲーム。B3リーグから昇格し、4連勝と勢いに乗る鹿児島レブナイズを迎えたホーム開幕戦。360度オレンジ色に包まれた満員の声援の後押しもあり、81-62で快勝。「勝利をおさめることができて本当にホッとしており、選手たちを称えたい」とは、初のホームゲームを無事終えた森高大ヘッドコーチ。「前節のアルティーリ千葉戦ではプレッシャーやフィジカルの差でボールの動きを切られてしまってうまく対処できなかった」反省を生かし、62失点に抑えたディフェンスを勝因に挙げた。22本のアシストは今シーズン最多であり、「オフェンスの入口をシンプルに入ってもしっかりボールをシェアでき、動きの中で全員がボールを触りながらプレーすることをこの1週間は用意してきた。それがうまく形にできて良かった」と森ヘッドコーチは続ける。岡田雄三も「A千葉は本当にレベルが高くて、昇格を見据えているチームとの差が浮き彫りになりました。でも、その強度をシーズン最初に知れたことで、今日の鹿児島戦はプレッシャーの違いも感じて楽に進められました」とチームが前進するきっかけとなった。
三島市で育まれ、沼津中央高校出身の岡田はプロとして地元に戻って4年目を数える。B3リーグから昇格した昨シーズンはB2の舞台にはじめて挑み、平均8.8点、アシストも4.4本とキャリアハイをマークした。その活躍に対し、「相手は僕のデータがなかった分、プレーしやすさも正直ありました」と謙遜する。どの環境に身を置いていても、プロとして上を目指して成長し続けるものだ。「B2やB1の選手とも渡り合える自信はもちろんありました」という努力や準備が実を結んだ。新体制となった今シーズンは、「みんなで得点を取っていくスタイルなので、たぶんプレータイムや得点、アシストが昨シーズンよりも減ると思っています。それでも試合に勝てれば良い。ポイントガードとして個人のスタッツよりも、試合を勝たせられる選手である方が需要も高いと思っています」と岡田は役割に徹する。森ヘッドコーチは、例えワンポゼッションであっても全員を出場させることをモットーとする。もちろんプレータイムは与えるものではなく、選手自身がつかむもの。常に競争を促しながらチームを強化している。
昨シーズンまでアルバルク東京に携わってきた森ヘッドコーチにとっては、B2のチームや選手の特徴を把握しながら最高指揮官としてのキャリアを踏み出した。開幕から試合を重ねたことで、「B1で勝つために目指すバスケも、B2もほとんど変わらない。先週2敗したA千葉はもちろん特徴的な戦い方はあるが、何よりも強度の高いディフェンスと強いリバウンド、そこからオフェンスを上乗せしていくことが必要になる。最初に挙げた2つがなければ決して頂点にいけない。そこは僕らが初めから目指しているところでもある」と確信を得た。