「いつどの選手がケガをするかもしれないし、練習から常に自分の存在感を示していかないと試合にも出られないと思います。自分に何ができるか、練習でやったことしか試合に出ないと思います。佐々木さんは日本代表候補までいきましたし、他にも山内さんとかチームメートは良い選手ばかりなので、日々良い練習にもなりますし、競争することで自分も成長できると思ってます。柏木さんは長くバスケットをやってきて経験がありますし、いろんな考えを持ってて、自分も練習中からコミュニケーションを取って、良いことを学べてます。若い選手が入ってきたことに関しては、負けられないという気持ちもありますし、上の立場になるにあたっては若い子の意見も聞きながら自分の意見も言って、ガード陣みんなで日々ステップアップしていけてると思います」
大浦自身も、オフには佐々木と同様にディベロップメントキャンプに招集された。その経験も、大浦の成長の材料となるのは言うまでもないことだ。
「呼んでいただいて、すごく良い経験になりました。もう一歩二歩上に行くためにも、自分に何ができるかとか、いろんなことを学んで成長していかないと日本代表にもなれない。これを2年3年と伸ばしていければ、自分の存在価値も見出していけると思います」
昨シーズンに一定の成果を残した以上、チームとしての今シーズンの目標は明確だ。その中で、個人としても日本代表という目標が現実味を帯びてきた今は、高みを目指す意識もこれまでになく強くなっているようだ。
「昨シーズン中地区優勝したので、今シーズンはより上を目指したいですし、チーム全員で改めて優勝をつかみにいく、そこはブレずにCSで優勝することを目標にやっています。やらないといけないことはまだまだありますが、選手同士は仲良くバチバチやり合えてると思います。試合に向けてのアジャスト、コーチ陣が求めていること、自分たちで判断しないといけないこと、それぞれでもう少し質を高めていけるようにと思います。個人としても、優勝に向かって自分にできる最大限のことをして、チームの勝利に貢献することがまず一番だと思ってます。試合を重ねていくことで成長して、日本代表でプレーできるようにやっていけたらと思いますし、バスケットボール選手を続ける以上は、やっぱり一番上でプレーできることが一番嬉しいこと、ありがたいこと。そこを目指して、日々成長していけたらと思ってます」
30分弱のインタビューの間に、大浦の口からは「自分にできる最大限のこと」、「日々成長」というフレーズが幾度となく出てきた。おそらくこの2つのフレーズは、大浦がバスケットボール選手として過ごす上で最も強く念頭に置いてきたことなのだろう。常にその考えに基づいて行動できる選手ほど、強いものはない。そして、それを結果で実証してみせた大浦が、三遠が頂点に立つために大きなカギを握る存在となることも間違いない。
琉球ゴールデンキングスとの開幕戦で、大浦はベンチスタートながら22分8秒出場。オーバータイムにもつれた熱戦は、そのオーバータイムにフル出場した大浦の残り1分33秒のスクープショットが決勝点となり、三遠が制した。大浦の進化は今シーズンも止まりそうにない。
【BBS AWARD 2023-24・MIP】
三遠ネオフェニックス #5 大浦颯太
日々成長し、自分にできる最大限のことを
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【後編】https://bbspirits.com/bleague/b24101702sot/
文 吉川哲彦
写真 B.LEAGUE