大塚とともにA千葉で4シーズン目を全うする杉本慶、3年目の木田貴明やブランドン・アシュリーはB2しか経験していない。開幕前に行われた天皇杯では大阪エヴェッサを破り、昨シーズンの4強の一角である名古屋ダイヤモンドドルフィンズには8点差の惜敗。B1を相手に木田は2試合とも2桁得点で活躍し、杉本もポイントガードとしてゲームをコントロールし、見劣りしない実力を示す。昨シーズンの活躍を踏まえ、B1からオファーがあってもおかしくない選手たちだが、大塚は彼らの気持ちを察する。
「実際に話したわけではないですが、アルティーリでB1に行きたい、このユニフォームで戦いたい気持ちがたぶんあると思っており、そこは尊重してくれているのではないかな。杉本選手に関しては非常に視野も広いですし、自分の生かし方も非常に分かってくれています。木田選手はスコアしたい気持ちが相当強いですが、ディフェンスで自分のメンタルを安定させることをコーチからも言われています。スコアするしないに関わらず、他のプレーでチームに貢献することにフォーカスできれば、もっともっと良いプレーヤーになる。B1のレベルも上がっているので、昇格したときに活躍できるかどうかは僕には分かりません。トップリーグで活躍するためには、プレーするための過程やアプローチが非常に大事になります。そこをアルティーリにいる間に学んでもらいたいです」
昨シーズンまではA千葉のスタメンを張ってきた大塚だが、今シーズンは開幕からベンチスタートと出番が変わった。「自分が後から出て行くことで、他のメンバーに安心感を与えられていればチームの強みになるかな」とメリットを挙げる。しかし、その心境はけっして穏やかではなかった。
「アルティーリができてからずっとスタートで出てきたので、そこに対するこだわりがなかったかと言えばウソになる。自分がチームを引っ張って、(キャプテンとしての)発信力だけではなくて、プレーヤーとしてもコートで引っ張ってB1昇格、B2優勝に向けて進んでいきたい気持ちは今でもあります。チーム内の競争で回復できるのか、コーチがどう考えているかは分からないですが、今日みたいに5分くらいの時間で3ポイントシュートを3本決めればチームに良い影響を与えられるし、まだまだできることを証明していきたいです。自分の中ではまだスッキリしていないですが、それも含めてレギュラーシーズン。プレーオフへ向けて自分の中で消化しながら、役割をまた見つけていきたいです」
レマニスヘッドコーチは「シーズンはじめは自分たちの実力が測りづらく、相手とも比較しづらい状況である」と言うように、不確定要素が多い時期に変わりない。B1から降格してきた2チームの存在が大きく、実際に戦って見なければ本当の実力も測れない。今月末には早くも富山グラウジーズをホームに迎え、最初の答え合わせとなる。大塚にとってはB1で2シーズン過ごした古巣との対戦。チーム力を上げるために、仲間たちと日々の激しい競争こそが近道でもある。
文・写真 泉誠一