ディフェンスの強さをチームのトレードマークに
千葉に根付いて4年目。ベルテックス静岡を迎えたオープニングホームゲームは、約6千人のファンで埋まった。開幕戦の熊本ヴォルターズに続き、昨シーズンのB2プレーオフに進出した静岡にも勝利し、アルティーリ千葉は4連勝の好スタートを切った。昨シーズンは60試合のうち、4試合しか負けていない。9割を超えた「圧倒的な勝率を誇るA千葉へのチャレンジとして位置づけて臨んだが、なぜ昨シーズンあれほど強かったのかと思い知らされるようなゲーム内容になってしまった」と今シーズンより静岡を指揮する森高大ヘッドコーチは洗礼を受ける。3つのポイントを敗因とし、「リバウンドとターンオーバーを誘発させるディフェンス、そしてフィジカルさ」が差を生んだ。「安定して勝つチームは必ずインテンシティが高く、リバウンドが強い」と「王者」を称える。
第1クォーターからA千葉は6本のスティールを奪い、逆に静岡に7つのターンオーバーがついた。攻守の切り替えが早いのは当然だが、さらにマッチアップする選手をつかめるスピードが上がり、うまく手を使ってボールを奪う。レギュラーシーズンに圧倒的な勝率を残しても、その後のプレーオフで同じチームに2敗すれば、B1昇格の目標は潰えてしまう。その悔しさを2シーズン味わってきたからこそ、「さらにディフェンスの強さをチームのトレードマークにできるようにフォーカスしてきた」とアンドレ・レマニスヘッドコーチは磨きをかける。91-74の快勝も、開幕4連勝にも浮き足立つことはなかった。「とにかく日々修正しながら、改善を重ねていきたい」と矢印を自分たちに向ける。
相手や審判ではなく、自らコントロールできる部分に注力させるレマニスヘッドコーチだが、ひとつだけ外的要素の大切さを説いた。「ファンの皆さんが応援していて誇らしいと思えるようなチームでありたい」とチーム全体の共通理解がある。「毎試合パッションを持ってハードワークし続けること。ファンの皆さんに対してリスペクトを持って戦う姿を見せることが、勝敗以上に重きを置いて戦っている」と述べ、B.革命が迫るチーム再編により、プレーオフを勝ち抜いて昇格できるラストチャンスをファンと一緒につかみにいく。
昨シーズンの平均入場者数は5106人。プレーオフでは6千人を超え、2シーズン前の時点で売上は12億円に達している。まもなく2026-27シーズンBプレミア参入に向けたライセンス交付クラブの結果が発表されるが、B1昇格を前にプレミアチケットが手に入るかもしれない。
「そこに対するこだわりがなかったかと言えばウソになる」大塚裕土
ホーム開幕戦を快勝し、「アップテンポなオフェンスやディフェンスの仕掛けなど、昨シーズンよりもアルティーリらしさを出せた」とキャプテンの大塚裕土は変わらぬ強さを実感する。しかし、昨シーズンの圧倒的な勝率により、「何を変えたら良いかは難しいところである」と戸惑いもあった。レギュラーシーズン56勝、プレーオフを合わせて60勝したことを糧とし、「自分たちが取り組んできたことは間違いではなかったと思うので、そのスタイルをどんな相手でも貫けるようにしたい」と自信に変えた。「誰が出ても、どんな相手でも変わらず自分たちの強みを出して行くことを伸ばしていきたい」と大塚は言い、さらにバスケIQを高めて確固たる「アルティーリらしさ」を築いていく。