自身にとって初の移籍を経て迎えた2023-24シーズン、大浦が開幕時に課された役割はバックアップのポイントガードだったが、安定して20分前後の出場時間を確保し、パフォーマンスにも好不調の波がなかった。そんな折に、スターターだった佐々木隆成が負傷で戦列を離れてしまい、大浦がスターターを務めることとなる。チームに貢献できる感触は既につかみつつあったが、スターターとなったことでその感触はより強く感じられるようになったという。
「佐々木さんとは違うプレースタイルだと思うので、彼がしていたことを僕が全部しようとも思ってなかったですし、今まで自分が求められてきたこと、自分が今できる最大限のことをしようと思ってたので、スタートになってもそこは変わらず、自分らしくプレーしようと思ってました。試合を重ねていくごとに『ここを狙ってほしい』というコーチ陣の思考とマッチしていった部分もあって、スタートになったことでより上手くいったのかなと思います」
チームのピースとなる中で、誰かのエゴが強くなってしまうとチームは上手く回らなくなってしまう。自身の持ち味をチームプレーに落とし込むのは簡単なことではないが、大浦はチームプレーの中でもひたむきにプレーできたことに、自分らしさが最もよく表れたと感じている。
「一番は、思いきりプレーしたところだと思います。いろんなところを狙って迷ってしまうのは良くないですし、思いきりプレーすることで仲間の良さも自分の良さも最大限に発揮できたのかなと思います」
佐々木が戦列を離れ、大浦がスターターに就いたのは12月31日の千葉ジェッツ戦。前日の同カードの時点でチームは既に3連勝していたが、その後も連勝は伸び続け、2月11日にアルバルク東京に敗れるまで、実に16に達した。付け加えておくと、大浦は11月にも3試合でスターターを務め、3連勝している。佐々木は3月に戦列復帰を果たし、スターター出場も2試合あったが、大浦がスターターを外れることはチャンピオンシップまでただの1試合もなかった。
チームに対する大浦の貢献度は間違いなく高かったが、その大浦自身はチーム全体が満足することなく、目の前の試合に集中して戦ったことが大型連勝の最大の要因だったと考えている。
「正直、いつかは負けると思ってましたし、このままシーズンが終わるわけでもないと思ってたので、勝ち方にもしっかりこだわっていかないといけないと思ってました。チームとしても、16連勝の間も練習中から『ここで引き締めないと負ける』というのは山内(盛久)さんをはじめ、みんなで共有してました。連勝してるから次も勝てるだろうと準備を怠るのではなく、全員が1試合1試合にフォーカスして、最終的に16連勝できた。チーム全員で勝ち取った16連勝だったと思ってます」