この2分間以外は互角の戦いを繰り広げ、横浜BCがリードする時間帯もあった。リバウンドではA東京の方が15本多く、シュート成功率も上回っていただけに抜け出すチャンスはもっと多くあったはずだ。デイニアス・アドマイティスヘッドコーチは「横浜BCのディフェンスが非常に激しかった。フィジカルなディフェンスに対し、自分たちがオフェンスをはじめたい場所からプレーさせてもらえなかった」と苦戦した原因を挙げる。勝機を見出すべく、「後半はスクリーンの角度や質を向上させたことで、オフェンス全体の遂行力も高まっていった。第4クォーターの勝負どころでしっかりと狙いを定め、ボールシェアしてエクスラパスからアシストにつながる良い状況でシュートを打てていた。外れても、オフェンスリバウンドに入るチャンスがある。そういった良い流れでオフェンスを終えることができ、最終的に4クォーター終盤で勝ち切ることができた」と攻守に渡って遂行力を高めたことで差をつけた。
「昨シーズンとは立場が違い、0点で終わっては絶対にいけない」松崎裕樹
新たな船出となった横浜BCにとって、「開幕4試合目でこの経験をできたことはポジティブに捉えている。今後、同じ状況になったとしても、同じミスが起こらないように、今度はしっかり得点を取れるようにこの負けを生かしていきたい」と話すラベナは、チームに合流してまだ日が浅い。最後に加入したダミアン・イングリスも然り、チームケミストリーはまだまだ発展途上である。トゥオビヘッドコーチはホームとアウェー、勝ち負けの両方を経験したことで「いろいろ学ぶことができ、自分たちのこともより知ることができた」と収穫を得た。
「1番大事なのは、対戦相手が自分たちをどう見ているか。それぞれのチームによって、いろんな考え方や見方がある。対策相手の見え方によって、どう対応するかという判断力をチームとしてどう向上させていけば良いかという考え方をあらためて感じることができた」
トゥオビヘッドコーチが目指すオフェンスはリード&リアクト。松崎は、「なかなかBリーグでも見ないような、ボールと人が動くようなバスケスタイルです。まだダミアンが合流して1ヶ月程度なので、連携ミスはあります。でも、そこはコミュニケーションを取れば解決できます」と仲間たちとの成熟度を増していく。昨シーズンは平均20.9点、8.1アシストでチームの半分近い得点を演出してきた河村勇輝がアメリカへと巣立ったからこそ、その穴を全員バスケで埋めていく。「昨シーズンとは立場が違い、0点で終わっては絶対にいけない」と松崎は言い、意識の変化が見られ、常にゴールを狙い続けている。仙台戦では11点、8点と役割を果たしたが、A東京戦の初戦は0点に終わり、悔しい思いもした。
次節は川崎ブレイブサンダースとの神奈川ダービー。「絶対に結果を残さなければいけない立場にいるチームだと思うので、必ずこの2連敗を学びにして、次の川崎戦に挑みたい」と誓う3年目の松崎の成長が、横浜BCをステップアップさせる。
文・写真 泉誠一