「3人制のチームではほとんど自分がボールを持って1対1をさせてもらっていたので、その駆け引きもできるようになりましたし、そもそも自分は高校と大学で試合の経験が少なかったので、3人制で試合慣れができて、周りにも認めてもらえて、『お前のドライブは通用する』とみんなに言ってもらえてるので、そこがすごく自信になりました。みんなが自分にボールを託してくれたというのもすごく大きいですし、いろんなタイプのディフェンスを相手に1対1をさせてもらえたのも今にすごく生きてると思います」
バスケットがチームスポーツである以上、個人の実力が向上した先にあるのもチームの勝利ということになる。森も自身の成長がチームの勝利に結びつくことを第一に考え、キャプテンとしてチームを導こうとしている。
「昨シーズンからドリューが得点を取るチームではあるんですが、ドリューが良くない場合、抑えられた場合に、必要なときに必要なドライブができるか、必要なときに1対1ができるか。場面に応じて自分の役割を理解して、今は点を取りにいかないといけない、今は3ポイントを打たなきゃいけないというのを意識しながらプレーしないといけないですし、他の選手も自分の得意なことを理解してプレーしないと今日みたいなゲームになってしまう。誰かに託してしまうとこういう結果になるので、ドリュー頼みになるのではなく、自分たちにどういう場面でどういう役割があるか、何をすべきなのかを考えられるようにならないといけないと思います。自分も、ちょっとしたことでも気づいたことがあれば周りに言っていきたいと思います」
チームの勝利にこだわるのも、昨シーズンの経験によるものだ。序盤からプレーオフ圏内に位置していた立川は、シーズン後半に急浮上してきた湘南ユナイテッドBCにかわされ、9位でフィニッシュ。27勝25敗と勝率で並び、対戦成績も2勝2敗の五分。直接対決の得失点差でたった1点マイナスだったことが、明暗を分けてしまったのだ。
「本当にその差で決まるのが、悔しいのはもちろんですが、情けないというか……自分が1本でも決めていればプレーオフに出られたかもしれないと思うと、もっと練習しないといけないなと思いましたし、今日みたいなゲームもしてはいけないなと思います」
バスケット界全体の盛り上がりを受け、立川も着実に観客動員を増やしている。「自分は控えから出るので、ティップオフのときに観客席を見て『こんなに入るようになったんだ』と感慨深いです」と語る森は、「今シーズンの選手は全員外が打てるのが強みだと思うので、外からどんどん決めて、トランジションでもスリーを決めて、見ていて『楽しいな』とか『バスケやってみたいな』と思ってもらえるようなチームになっていければ」と楽しさを追求しながら勝つバスケットを目指す。昨シーズンの立川はホームで17勝9敗。今シーズンも、森が先頭に立ってアリーナ立川立飛を沸かせる。
文・写真 吉川哲彦