「もちろんシュートには自信を持っていますが、自分の中でも、コーチ陣と話していても、ゲームを作ることがポイントカードとして成長していかなければいけないです。ゲームを読む力やゲームを作る力を意識し、そこに余裕が出てきたら、自ずとシュートも打っていきたいです。もちろん常に自信を持っているので、空いたら打っていこうとは思いますが、これからです。まだまだ未熟なことばかりなので、コーチ陣から学びながら成長している日々です」
若手だけではなく、過去4シーズンのB1では、平均5分前後のプレータイムしかなかった土屋アリスター時生の起用法も、前田ヘッドコーチにとってはチャレンジとなる。開幕戦は1分10秒だったが、点差が開いた2戦目は15分21秒、コートに立たせた。大阪エヴェッサでの昨シーズン、10分以上出場する機会は1度しかなかった土屋に対し、「僕が彼にチャンスを与えなければいけない。それができなければ結局、タナー(ライスナー)選手のプレータイムが非常に長くなってしまう。土屋選手はサイズがあって脚もあるので、ここで彼を出さないっていうのはおかしくないか ── と昨日の試合後にすごく自問自答した」と前田ヘッドコーチは頭を抱える。自ら構築する秋田のスタイルを体現できる12人を、自ら選んだからこそ、満遍なくプレータイムを与えながら勝利を目指すのも当然である。
過去の実績など固定観念にとらわれた開幕戦の采配を猛省し、「とにかく今日は秋田のスタイルを出したかった。勝っても負けても、今日の選手たちはしっかりとスタイルを出してくれたので、そこが本当にうれしかった」と前田ヘッドコーチにとっても成長につながる1勝となった。「ディフェンスを武器にしなければ、秋田のバスケにはならない」ことを貫き、89-68で快勝。悔しさを晴らす初勝利を飾った。
次節も中地区のサンロッカーズ渋谷とのアウェーゲームが続く。ホームゲーム開幕戦は、10月19日・20日に佐賀バルーナーズを迎える。アウェーは1勝1敗でも及第点。先勝すれば楽になり、逆に先手を取られたら怒りが原動力となる。首を長くして待つ秋田ブースターの前に立つ頃には、若いチームは早くもひと回り大きくなっているかもしれない。
文・写真 泉誠一