「新しくなったBUNTAIでまたプレーできたことがすごくうれしかった」西山達哉
2019-20シーズン、B2で戦っていた東京エクセレンスは18チーム中10位。しかし、コロナ禍によってシーズン半ばで中止となり、クラブの先行きも見えなくなった2020年。ホームとしていた東京都板橋区のアリーナ計画が白紙撤回されたたことにより、ライセンス基準を満たせず、戦績に関係なくB3リーグへ降格。2021-22シーズンよりアリーナが確保できる横浜へ移転して再起を図ってきた。現時点では横浜武道館が横浜エクセレンスのホームアリーナだが、今春より隣に完成した横浜BUNTAIこそが将来の本拠地であり、10月5日にホームゲーム初開催。クラブ史上最多の3874人(※翌6日はさらに多い3940人)を集め、岐阜スゥープスに103-59で快勝。2026年に迫るB.革新によるリーグ再編を前に、ライセンスさえあれば自らの手でB2昇格を勝ち獲れるラストチャンスがはじまった。
はじめて横浜BUNTAIのコートに立った増子匠は「広すぎず、お客さんをすごく近く感じる良い体育館だと思いました。いつも以上に大きな声援も聞こえました。大きなビジョンがある体育館でプレーしたのもはじめてだったので、ものすごく良い環境でプレーできたのはうれしい気持ちです」と高いモチベーションがそのままプレーに現れる。第1クォーターから2本成功させた3ポイントシュートを含む12点を挙げ、横浜EXが先手を取った。
横浜出身、いくつかのチームを渡り歩いてきたが、前身のNBDL(NBLの下部リーグ)時代を含めて通算7年目となる西山達哉もホーム開幕戦は感慨深い。「中学校の頃には昔の文体(横浜文化体育館)でプレーしたこともあるので、新しくなったBUNTAIでまたプレーできたことがすごくうれしかったです。ここをホームコートにできるように、絶対に今シーズンこそ昇格したいです」と勢いに乗る大きな1勝をつかんだ。
増子と西山は横浜EXに移籍して来て、ともに3年目。「僕も匠もB2へ昇格させるためにこのチームに来ました。でも、この2年間は結果を残せず、すごく責任も感じています。3度目の挑戦も覚悟を持って臨んでいます。今シーズンこそB3で優勝し、B2へ昇格するために僕も匠も身体を張って、若手が多いチームを引っ張っていきます」と36歳の西山にとっても勝負の年となる。「3度目の正直という言葉は好きではないが、笑って今シーズンを終えたい」という増子も最高の結果を逆算しながら、1戦必勝の新たなシーズンが幕を開けた。
B2昇格のカギを握るディフェンスマインド
選手やコーチの入れ替えが激しいB3リーグにあり、横浜EXも7人が新加入。新指揮官として迎えた河合竜児ヘッドコーチは、開幕へ向けて着手してきたのがディフェンスのマインドセットである。自らの経験を踏まえ、「一昔前まではオフェンシブなチームがレギュラーシーズンを勝つが、プレーオフを勝つのはディフェンシブなチーム。シーズンを通して安定して勝つためには、やっぱりディフェンシブなチームを作らなければならない」。B1では当然のようにディフェンスの強度を高く保たなければならないが、下部リーグになればなるほどオフェンシブになりがちである。世界トップレベルのコーチがBリーグにやって来るようになり、あえてアシスタントコーチとなって経験や研鑽を積んできた河合ヘッドコーチが、クラブの目標を達成するためにもディフェンスの重要性を説いてきた。