「それは間違いないです。自分としても『まだできる』と宣言した手前、やらなきゃいけないと思ったし、この開幕節はできる限りの準備をして結果を出すことを意識してきたので、そういう意味ではいつも以上に集中してたと思います。HCとの間にも信頼関係があると思ってるので、出番が何分あるかはわからなくても、その中で自分がしっかり仕事するイメージで昨日今日の試合を迎えて、実際に仕事できて良かったですね」
1年でのB2復帰が叶わなかった香川は大幅に選手を入れ替え、改めてチームを構築しようとしている段階だ。その分周囲からの期待も大きくなる中、「フレッシュで将来性のある選手が多い」と感じている岡田は、「彼らの良いところをもっと伸ばせる。そこは自分がプレーしながら貢献できると思ったから、やりがいはすごくある」と自身の存在価値を再認識し、自身を必要としてくれた香川のために「ただプレーするだけでなく、良い刺激を与えて、香川に良いものを残したい。せっかく来たので、自分のためというよりは人の役に立ちたいと思ってます」と力を尽くしたい気持ちも強くなっている。だからといって覚悟や決意といった悲壮感に近いものを漂わせないのも、岡田のメンタリティーによるものだ。
「もちろん期待されてると思いますし、チームとしては優勝を掲げてますが、僕は意外と現実路線派なので(笑)、優勝は簡単ではない。B3もすごくレベルが上がってるし、良い選手がB3でプレーすることも増えてきてるので、簡単ではないけどもすごくチャレンジングな良い目標だなと思ってます。正しいプロセスを踏んでいけば、その先に優勝は必ずあると思う。残されたプレー期間は短いと思うので、人に感謝を伝えたり、恩返しをしたり、香川に来てくれて良かったと思われるような役回りをしたいと思います。責任もありますが、あまり気負ってはいないですね。本当に『楽しみたい』と思ってます」
40代で現役を続ける選手は年々増え、B3にも岡田より年上の選手がいる。特に、五十嵐圭(新潟アルビレックスBB)の存在は良いモチベーションにもなっているそうだ。
「圭さんは本当に良い刺激になりますね。4つ上であれだけ動けてるのは良い目標になるし、『僕も頑張らないと』というのは他のベテランの選手に対しても思います。逆に、ネゴ(根來新之助)なんかは年齢が近いので、『岡田さんが頑張ってるんだから自分も』というふうになればと思います。プロの世界は、やれるかやれないか。実力社会で自分はプロとしてユニフォームを着てるわけだから、それはもう誰にも負けたくないです」
大都市のクラブに在籍することが多かった岡田も、香川での生活には何の不自由も感じていないそうだが、今は単身赴任のため、「家族と離れてることだけがちょっと大変」という。ただ、幸いにもB3は首都圏のクラブが多く、「東京遠征のときは毎回千葉の家族の所に帰ります」とのこと。この開幕節がそうだったように、勝利の余韻のまま笑顔で家族と会うということも、今の岡田にとっては何よりのモチベーションなのだろう。
文・写真 吉川哲彦