ほとんど変わらぬ仲間とともに、新たにはじまるA東京での6シーズン目を前に、「もっと自分を出していかなければいけない」と心境の変化を語った。
「昨シーズンの課題として出たオフェンスの積極性を、今シーズンは発揮していきたいです。しっかりディフェンスから入ることは昨シーズンまでと変わらず、それが自分の仕事だと思っています。そこにプラスして、オフェンスでもう少しチームを引っ張っていけるようにしたいです。今はプレータイムもしっかりもらえているので、自分からコミュニケーションを多く取って、チーム全員で勝利につなげていけるようにしたいです」
ディフェンスへの意識が芽生えた神奈川大学からA東京で覚醒し、エースキラーとしての地位を確立。それに加えるオフェンスの積極性に対し、スタッツ目標を聞けば、「得点はあまり気にしていない」と消極的な回答が返ってきた。「ミスを減らし、スタッツに残らないところでがんばること」が、小酒部が求めるオフェンスの積極性である。
「ピックを使ったときに1個目のスクリーンをしっかりかけて、ズレを作ってシュートチャンスを作ること。そこでシュートが決まっても自分にはアシストはつかないですが、そういうまわりを生かすプレーを目指していきたいです」
チームの目標は変わらず、「毎年のように今年こそ優勝するって言ってきましたが…」、これまでのバスケ人生でその喜びを味わったことがない。「1シーズン目はコロナ禍によって途中で終わり、2シーズン目は7位くらい(※東地区6位)でCSに行けず。その後はCSに出ましたが1回戦負け、2回戦負け、1回戦負け。僕が入ってきてからおかしくなっちゃった…」と自虐的に振り返る。今シーズン、A東京のポスターやWEBサイトのキービジュアルの真ん中には小酒部がおり、その期待は大きい。
「今年こそ本当にチャンスがあると思っています。しっかりと優勝を目指して、チームとして戦っていきます。個人としては、もちろんディフェンスでは相手のキープレーヤーとのマッチアップが多くなると思うので、そこはしっかり徹底していきます。昨シーズンのCSのようにオフェンスにも絡んでいきながら、チームのスコアを伸ばして勝利につなげていきたいです。チームとして優勝へ向けてがんばります」
バスケは瞬時に次の行動を決断しなければならない。最善の決断を下しながら、チームのため、仲間たちのために、そしてファンのために勝利へ導く。チームの顔となった小酒部は、これからさらにどんな選手になっていきたいのだろうか?
「何でもできるプレーヤーですかね。(具体的には?)いるじゃないですか、すごい器用な選手って」
笑顔で返すふわっとした理想像は、今後の小酒部のプレーを見ながら答え合わせしていこう。
アルバルク東京 #75 小酒部泰暉
【前編】オフェンスだけでは勝てないバスケの奥深さ
【後編】オフェンスだけでは試合に出られないプロの壁
文 泉誠一
写真提供 アルバルク東京