最高の手本を迎え、爆発的な成長が期待される金近廉
ルーキーシーズンを終えた金近廉は、充実したオフを過ごしたようだ。初戦のSR渋谷戦では、「オフェンスに関しては自分らしいプレーがあまりできなかったので、後悔している部分が多かったです」と振り返り、トレヴァー・グリーソンヘッドコーチにも「アグレッシブさが足りない」と指摘された。「今日は出だしから、多少相手にチェックされても打ち切ろうと思っていました」と強気でプレーを見せたソウルSKナイツ戦はチームハイの19点と活躍。この1年間で体重を約10kg増やし、当たり負けない肉体改造にも努めてきた。「原(修太)さんはビッグマンとマッチアップしながら、ヘルプを使うことなく1on1で守り切っていました。同じように守れる選手が増えれば、チームのディフェンスもローテーションすることなく守れるので、そういう選手を自分も目指しています」と見習うべき先輩が多い。「ディフェンスやリバウンド、ルーズボールでどれだけハッスルできるか。今日の岳さんのようなプレーを全員ができるとよりタフなチームになり、崩れないチームになっていくと思います」と金近もスタッツに残らないプレーこそ全力を注ぐ。
渡邊の存在が最高の手本となる。「試合の中でどんどん成長していける選手であり、今日のスリーポイントを見ても5/10と10本打っていることが素晴らしいです。彼がシュートをしっかり打ってスペースを広げることで、インサイドの選手もプレーしやすくなる。今日の彼の活躍は本当に素晴らしかったです」と金近へ賛辞を送る渡邊は、自らの経験を惜しみなく伝えてくれる。日々の練習から間近で見ているからこそ、今シーズンの爆発的な成長を楽しみにしたい。
「試合を見ていて、やっぱりすごいなと同じチームでも思います。それ以上に日頃の練習やトレーニングでは誰よりも努力していますし、まだまだ上手くなろうとしていることは同じチームになってより感じています。だからこそ、僕がそれ以上にやらないといけないです。ポジションは同じですけど、求められるプレースタイルは少し違うので、その中で自分の役割にフォーカスしていくように徹底しています。今日の試合も雄太さんが出ている時間帯は相手もプレッシャーをかけていくので、より自分や他の選手が気持ちよくプレーでき、雄太さんもそこを分かってパスしてくれるのですごくやりやすいです。それほど多くないかもしれませんが、一緒に出たときはより吸収できることもあるので、良いコミュニケーションを取りながら1つひとつ学んでいきたいです」
今シーズンより指揮を執るグリーソンヘッドコーチは来日してまだ日も浅く、対戦チームの情報はもとより、千葉Jの戦力や日本の環境など初めてのことばかりだ。開幕まで20日を切ったが、「まだ時間はある。それ以上に、選手たちの練習に取り組む姿勢が素晴らしく、常に一生懸命に学ぼうとしてくれているのが大きな収穫だった。そのおかげでここまではスムーズに来ているが、新しいシステムを構築するには時間がかかるのも致し方ない」とチームビルディングに勤しんでいる。オーストラリア出身、母国はもちろん韓国やNBAでも仕事をしてきた経験があり、トロント・ラプターズのアシスタントコーチ時代は渡邊と同じチームだった。「選手たちはスマートであり、こちらの要求に対する吸収も早い。徐々に目指すべきシステムを理解してもらって、チャンピオンチームを作り上げていきたい」と目的地は決まった。グリーソンヘッドコーチが操縦桿を握る新生ジェッツが離陸しはじめた。
文・写真 泉誠一