渡邊雄太のバックアップを務める37歳「ちょっと疲れてあまり覚えてないんですけど…」
千葉ジェッツの新たなホームとなるLaLa arena TOKYO-BAYにて、「HOTEL FLORA PRESEASON GAME 2024」の2連戦が行われ、両日約8千人が会場を埋めた。まだ最上階は解放されず、10月5日に宇都宮ブレックスを迎えるBリーグ開幕戦でフルオープンとなる。
9月15日のサンロッカーズ渋谷戦が、LaLa arena TOKYO-BAYでの初試合。6年間のNBAを経て、日本に戻ってきた渡邊雄太にとっても千葉Jとして初の試合に臨み、得点やアシスト、リバウンドなどのスタッツを初めて記録。SR渋谷には敗れたが、2日目には韓国からやって来たソウルSKナイツを相手に95-82、初勝利を飾った。
渡邊がチームに合流したのは8月22日。コンディションを上げている最中であり、この2連戦は千葉Jベンチ側に攻める前半のみの出場と制限をかけた。ソウルSKナイツ戦は15分3秒の短い時間でも8点、4リバウンドと活躍し、完全状態となって相手ベンチ側にも攻める渡邊の姿が待ち遠しい。ソウルSKナイツ戦、バックアップを務める荒尾岳は19分29秒出場。過去2シーズンと2016-17シーズンから2年間の千葉J在籍時に限って調べると、15分以上出場したのはBリーグ元年に2回だけ。2017年4月29日の栃木ブレックス(現宇都宮)に19分42秒を記録して以来、7年ぶりに15分以上コートに立ち続けた(※過去プレシーズンゲームや天皇杯などは未集計)。渡邊を休めせるため、さらにマイケル・オウのファウルトラブルの中で奮闘した荒尾がMIPに選ばれ、マイクを握った。
「ちょっと疲れてあまり覚えてないんですけど…」という第一声に、会場は温かい笑いと拍手に包まれる。「前半はオフェンスリバウンドをたくさん獲られて、相手の流れになってしまっていましたが、後半は少し修正でき、ノーマークでシュートを打てたのでそこが勝因につながったと思います。ハイ」と記憶をたどる。「ノーマークでシュートを打てた」と言った荒尾だが、この日の試投数は0。身体を張って仲間たちのシュートチャンスを作る。「岳さんは常に自分の仕事を徹底し、チームにとってプラスなことを陰ながら率先して行っている選手なので、そのメンタリティーは自分たちも見習わなければいけないです」と渡邊にとっても頼もしい先輩である。
荒尾が日本代表のユニフォームを着た2015年、アジア4位となってリオオリンピックの出場権を懸けた世界予選への切符を勝ち獲った。翌年、荒尾に代わってロスター入りしたのが、日本のためにアメリカから戻ってきた当時21歳の渡邊だった。8年のときを経て同じチームとなり、しっかりとバックアップを務めつつ、スター軍団を輝かせる。現在37歳、16シーズン目を迎える荒尾にもスポットライトをあてたい。
ヒーローインタビューの最後に新アリーナで迎えるBリーグ開幕戦へ向け、意気込みを聞かれた。目の前のことに実直に向き合う荒尾らしく、「その前に週末には天皇杯があるので、そこでしっかり勝って次のラウンドに進めるようにがんばっていきます。応援よろしくお願いします」と地に足のついたメッセージを送る。逆輸入NBA選手の渡邊にとっては初の天皇杯出場であり、ディフェンディングチャンピオンとして初の国内公式戦へ臨む。