日本代表としてテーブス海、ブラジル代表としてレオナルド・メインデルがこの夏、世界最高峰の舞台に立った。「国を代表してプレーすることに対する覚悟や相当なプレッシャーがある。その重圧の中で責任を持ってプレーしてきたことが彼らにとって貴重な経験になり、自信にもつながっている」とアドマイティスヘッドコーチは、オリンピアンに対して昨シーズン以上の活躍に期待を寄せる。
「オリンピックでは自分の持ち味を発揮し続け、さらに強くプレーしなければいけなかったです。その良いコンディションままアルバルクに戻って来ることができ、開幕へ向けた準備は万全です」とメインデルは夢を叶えた。日本に戻ってきて2週間ほどだが、約18分の出場時間で13点を挙げ、ブラジル代表と遜色ない活躍を見せた。パリオリンピックでは日本と対戦し、三遠ネオフェニックスへ移籍した元チームメイトの吉井裕鷹とのマッチアップに興奮する。真剣勝負を通して日本のバスケ、Bリーグのレベルをどう感じたのだろうか?
「年々Bリーグのレベルが上がっているのは間違いありません。日本代表も同じく、選手たちもチームとしても向上心があり、特に3ポイントシュート力がズバ抜けていました。非常に確率が高い選手が揃っています。日本の武器であるスピードやクイックネスもゲームを通して発揮され、対戦していて厄介でした。しかし、世界と比べて、やっぱりサイズとフィジカルはどうしても劣ってしまいます。その弱点をシュート力とクイックネスで乗り越えていくことができれば、今後の日本は絶対に強くなります。その過程となるBリーグをもっと発展させることで、個人のスキルやレベルも上がっていき、日本全体として強くなっていくと思っています」
2023年のFIBAワールドカップにもメインデルは出場し、平均7.4点、1.2アシストを記録。パリオリンピックでは平均9点、2.3アシストに伸ばすことができたのも、昨シーズンでのA東京で成長した証と言える。「常に向上心を持って取り組んできたことが、数字が伸びていることにつながっていると思います。昨シーズンは新しい環境でなかなかうまくいかなかった部分もありました。でも、シーズンを通して自分自身に磨きをかけ、武器を増やしていくことができました。2年目の今シーズンはチームや仲間たちの特徴はもう把握しているので、もっともっと活躍できると思っています」と自信を見せた。
オリンピックを経て、「競争心がすごく高まった」とメインデルは成長を実感する。世界の強豪を相手に負けられない試合が続く「タフな状況の中で良い判断をし、正しいプレーをすることが身につきました」と続け、すべての経験をA東京に還元し、昨シーズン成し得なかったタイトルをつかみに行く。
「オリンピックは選手としても、人間的にも大きく成長させてくれました。だからこそ、もっとプロ意識を高く持ってプレーすることが今後の個人的な目標です。日々の練習から次のゲームまでに1段階も2段階もレベルを上げて行き、常に良い状況でシーズンを戦っていけるようにしたいです。もちろん昨シーズンは優勝に届かなかった悔しさがあるからこそ、自信を持って今シーズンを迎え、良い結果につながることも確信しています」
文・写真 泉誠一