失意のB2降格から、わずか1年でのB1復帰を実現した滋賀レイクス。これまでにも1年でB1復帰を果たした例はあったものの、B2優勝で飾ったクラブはなく、5月18・19日に開催されたプレーオフファイナルでB2の頂点に立った滋賀は、リーグとして初のケースとなった。
昨シーズンから継続して滋賀でプレーしている選手、つまり降格を経験した選手は、昨シーズン特別指定選手だった湧川颯斗を含めて6人。捲土重来のシーズンを送ってきた彼らにとって、B1復帰とB2制覇を果たした現実に対しては特に強く思うところがあるだろう。その中でも、昨シーズンから引き続きキャプテンを務めた柏倉哲平が、並々ならぬ覚悟を胸に秘めてこの1年間を過ごしてきたに違いないということは、B1復帰を決めた際に見せた涙が物語っている。
そんな柏倉も、B2優勝を決めた後は笑顔が絶えなかった。セミファイナル第2戦とファイナル第1戦は、チームは勝ったものの柏倉自身は計8本のシュートを全て外して無得点。それでもチームからは「ここまできたらおまえしかいない」と励まされ、ファイナル第2戦は2本の3ポイントを含む10得点を挙げてみせた。会見では「ここで自分がやらなきゃ、滋賀で外を歩けねぇなと思って(笑)」と軽口も飛び出し、使命感から解放された様子が窺えた。それほどまでに柏倉はプレッシャーと戦い、そしてそれを自らの手で拭い去ったのである。
アースフレンズ東京Zの特別指定選手として始まったBリーグでのキャリアは、チームの成績という点では決して恵まれたものではなく、昨シーズンは滋賀がB2降格の憂き目にあったばかりか、過去に在籍した東京Zと新潟アルビレックスBBも同時に降格。その中で、覚悟を持って滋賀に残り、自らクラブをB1に引き戻したことは、柏倉のキャリアにおいて特別な輝きを放つものだが、それまで自身にのしかかっていたプレッシャーを顧みると、その表情は再び引き締まり、そして達成感もにじませる。
「自分たちがB2に降格させてしまって、絶対に自分たちがB1に上げるという強い想いで臨んだシーズンでした。もちろん良いこともありましたが、苦しいこともたくさんあったので……ただ、このチームでキャプテンをやってきて本当に良かったなというのが、今の一番率直な気持ちです。B1昇格とB2優勝を達成できたことで、キャプテンをやった自分を少しは褒めてあげたいなと思います」
1年でのB1復帰を目指すという点でいえば、滋賀にとってはもちろんのこと、柏倉にとってもこれまでのシーズンとは異なる意味を持つシーズンだった。必然的に、バスケットと向き合う意識もより強くなった。
「自分の中で満足しないようにということは、今シーズンずっと思ってました。チームが勝っても、自分が活躍できたとしても、それで満足してしまったらそこまでだなって。これからも自分はもっと高いレベルで挑戦していきたいと思いますし、日々成長していきたい。今、B1もすごく高いレベルになっていってますし、それをしっかり見ながら、体作りとかいろいろ成長できるように向き合ってきたつもりではいます」