今なおトップリーグで活躍する17年前のファイナル経験者たち
日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2023-24(以下CS)セミファイナルはフルゲームまでもつれた末、1勝2敗でホームの名古屋ダイヤモンドドルフィンズが敗退。クォーターファイナルに続き、ワイルドカードの広島ドラゴンフライズが下剋上を果たし、初のファイナル進出を決めた。
我が家の本棚の奥底に追いやられた旧JBLの記録が記された古い文献を引っ張り出す。名古屋Dの過去戦績を調べたところ、日本ではじめて世界選手権(現ワールドカップ)が開催された年、2006-07シーズンに前身の三菱電機メルコドルフィンズがファイナル進出を果たしていた。当時は7チームしかなく、プレーオフは上位4チームで争われた。Bリーグとは違い、5戦3先勝方式のファイナルへ勝ち進んだ三菱電機だったが、トヨタ自動車アルバルク(現アルバルク東京)にスウィープされ、優勝を逃す。ラストゲームとなった第3戦の舞台は愛知県体育館、今のドルフィンズアリーナだった。
文献にある当時のロスターを見れば、大野篤史(現三遠ネオフェニックス/ヘッドコーチ)、鵜澤潤(昨シーズンまでシャンソン化粧品シャンソンVマジック/ヘッドコーチ)、川辺泰三(現ファイティングイーグルス名古屋/ヘッドコーチ)、柏倉秀徳(現ENEOSサンフラワーズ/アソシエイトヘッドコーチ)など、現役を退いてもトップリーグで活躍する錚々たるメンバーが揃っていた。当時の藤田将弘ヘッドコーチは、母校の日本体育大学を指揮し、今月行われた関東大学スプリングトーナメントで優勝。Bリーグでも通用する後進を育てている。生え抜きの梶山信吾は名古屋DのGMとなり、歴史を動かし続けている。あれから17年が経ち、24チームに膨れあがったBリーグでベスト4、西地区8チームの頂点へと躍進を遂げた。
戦力が変わらず、ヘルシーなチームはやっぱり強い
今シーズンの名古屋Dはロスター16人中10人が、3年以上在籍し続けている。チームを率いるショーン・デニスヘッドコーチも3年目。レギュラーシーズン終盤は負けなしの6連勝。最終戦で佐賀バルーナーズに勝利し、琉球ゴールデンキングスと入れ替わって西地区チャンピオンに輝いた。ホームコートアドバンテージを手にし、期待あふれる新たな歴史の扉を開けた。
クォーターファイナルは、シーホース三河を2連勝で一蹴。名古屋Dにとっては、初のセミファイナル進出。「粘り強く自分たちのバスケを遂行できたことが勝因。これまでの2シーズンはケガ人がおり、苦しい経験をしたからこそ、今は厚みのある試合ができています」と中東泰斗は好調の要因を挙げた。戦力が変わらず、ヘルシーなチームはやっぱり強い。
広島ドラゴンフライズとのセミファイナル第1戦は75-79で惜しくも敗れ、黒星が先行する。3点しか挙げられなかった第3クォーターを悔やんだ。第2戦も「前半を終えた点差(14点リード)が同じ展開になり、ハーフタイムでは絶対に昨日と同じ過ちは繰り返せないとミーティングで強く話しました」と中東は初戦の悔しさを教訓とし、異なる結果を手にする。
「第3クォーターもリードしたまま終わることができ、第4クォーターに追い上げられたが、自分たちのバスケを遂行して勝ち切れることができ、明日につなげられたことがすごく良かったです。もう後がないので、明日はしっかり勝ってファイナルに行きたい想いは強い。絶対に勝ちたいです」