金久保といえば、シーズン開幕後にコーチ不在の状況を自身のnoteで赤裸々に綴ったことが話題になった。チームマネージメントを司る人物がいなかったという事実は、組織として好ましいことではない。ただし、選手たちが自ら練習メニューを考え、試合に備えてゲームプランを立て、いざ試合となればベンチワークもこなしたという経験からも得るものはあった。
「黒島(秀介)監督や中野(秀光)社長にも入っていただいて一緒に考えたんですが、試合中はコートにいる5人にしか打開できないし、HCがいてもプレーすることはできない。自分たちで劣勢の状況を解決するという部分に関しては、コート内でコミュニケーションを取って自分たちで考えるしかないので、それは前に比べるとできるようになったかなと思います」
実際に、この日も第1クォーターのうちは立て直すことができなかったものの、第2クォーターはゲームプランを遂行することができた。三木HCも、就任後に試合を重ねてきてその点が向上していることは実感している。様々な困難に立ち向かい、できる限りの努力をしてきた選手たちは、確かに進歩しているのだ。
「逆境からどう立ち直るかというのは、選手たちも今強く感じているところだと思います。僕はこれをやろう、ここを修正しようと細かいことを言うことはありますが、それをコートでやるのは彼らで、僕が言ったような状況には簡単にはならない。千変万化の状況で良い判断につながるケースは増えてるので、そこは彼らが成長してるところです」
もちろん、指揮官として迎えられた三木HCが果たした役割も大きい。「人柄が大好き。人格者」と三木HCを評する金久保は、「三木さんのために頑張りたいという気持ちにさせてもらえている」とその存在に感謝する。
「三木さんがチームに合流したときに、最初に言ってくれたのが人間性の部分。バスケットで生活してるので一生懸命プレーすることはもちろんなんですが、まず人間性を大事にしようということを真っ先にお話ししていて、僕も共感しました。今日も最後までボールを追いかけて残り10秒でスティールした場面がありましたが、ああいう姿を三木さんは一番大事にしてると思います。たとえ勝てなくても最後まで頑張ること、点差が離れても諦めない姿を見せること、そこは三木さんが来て変わった部分だと思います」