レギュラーシーズンが終わりに近づくと、どのクラブも最後のホームゲームを迎える。チャンピオンシップ進出を決め、クォーターファイナルに関してはホーム開催が確定しているアルバルク東京も、CSの試合会場は有明コロシアムとなっているため、代々木第一体育館でのホームゲームは4月27・28日の第35節が今シーズン最後となった。
第1戦はオーバータイムの末に黒星を喫したA東京だが、28日の第2戦は群馬クレインサンダーズを立ち上がりから圧倒。後半にやや点差を詰められたものの、最後は80-64で快勝を収めた。前日も欠場したセバスチャン・サイズに続き、この日はデイニアス・アドマイティスヘッドコーチの判断でライアン・ロシターも欠場。高さという点では相手にアドバンテージを与えてしまう状況だったが、それを救ったのが平岩玄だ。
第33節までの平岩は54試合中15試合にしか出場していなかったが、サイズが欠場した第34節の宇都宮ブレックス戦に2試合合計で17分15秒出場すると、群馬との第1戦は一気に21分57秒まで出場時間を伸ばした。そして第2戦も第4クォーターのフル出場を含む21分4秒コートに立ち、得点は2点止まりながら7リバウンド4アシストというスタッツを残してみせた。アドマイティスHCは、平岩に惜しみない賛辞を贈る。
「レギュラーシーズンを通してなかなかプレータイムが少ない選手ですが、昨日今日は本当に素晴らしい仕事をしてくれました。ケガ人が出た中で急遽プレータイムが増え、自分の役割を果たしてくれたことは、今後の彼にとっても、チームにとっても良いことだと思います。日々の練習から全てを出しきる姿勢が見えますし、プレーに関しても非常にスマート。このチームにおける役割は大きいものではありませんが、小さなチャンスを自分のものにしたこと、数字にも残る活躍をしてくれたことはHCとしても嬉しいことです。今日オフェンスリバウンドを5本取ってくれたのも、『やってやろう』という意欲が前面に出た結果だと思います」
「昨日も、チームは勝てなかったけど自分の中では良いパフォーマンスができた。うちのチームはプレーが良くないとすぐ交代なので、僕としては1試合1試合、出た時間を1分でも伸ばしていくというアプローチで試合に入っている」という平岩。「今日はライアンがプレーしないのがゲーム前に決まって、モチベーションをよりエクストラに持っていかないといけないのが難しかった」と漏らす一方で、「どれくらい貢献できたか……『貢献できた』ってはっきり言えないのが良くないんですが」と苦笑いを浮かべながらも「プレーオフがあって、先も見据えてる中での58試合目は心も体もキツい中で、コートに立ち続けたのは貢献できたのかなと思います」と手応えもあったようだ。
A東京における自身の役割を「良いスクリーンをかけること、毎回リバウンドにアタックすること、自分のところに来たボールをしっかりフィニッシュすること」と見定めている平岩は、この日の自身のプレーに及第点を与える。オフェンスリバウンドから、ペイントエリアに飛び込んできたアルトゥーラス・グダイティスにパスを出し、ダンクを演出する場面もあったように、周囲の動きがしっかり見えていることが4アシストという数字にもつながった。これもやはり、地道に積み重ねてきた成果だ。
「最近プレータイムが増えてるというのもあって、アプローチの仕方が自分に馴染んできて、落ち着いてゲームに入ってます。ああいうプレーはゲームの前の1週間で分解してポジション別に練習して、シーズンを通して繰り返しやっていることなので、本当に練習の賜物だと思います」