今シーズン開幕2週目(2023年10月14日)、75-60と15点差をつけたアルバルク東京が初戦を飾った。翌日は宇都宮ブレックスが71-70で巻き返し、1勝1敗。互いに今シーズン初黒星を許した相手である。半年を経て、真っ黄色に染まった日環アリーナ栃木での第2ラウンドは、緊迫する東地区首位攻防戦。46勝8敗で首位に立つ宇都宮が2連勝すれば、レギュラーシーズン最後のホームで3シーズンぶりの東地区優勝の喜びをファンと分かち合える。対して、2ゲーム差で追うA東京(44勝10敗)が2つ勝てば、直接対決の結果により首位が入れ替わる。
前節の水曜ゲームで仙台89ERSに勝利したあと、宇都宮の佐々宜央ヘッドコーチは「勝ちにいきたいとは思うが、いろんなことを今は考えると難しい」とコメントを残す。4月に入ってからは週3日で試合が続き、体力的にも精神的にも疲れが見られる。「少し調子が落ちている状況も許容しなければならない」と指揮官は続け、選手たちを慮っていた。しかし、ゲームがはじまれば、その心配も杞憂に終わる。51.9%の高確率で14本の3ポイントシュートを決めた宇都宮が80-76で先勝し、東地区優勝へ王手をかけた。
敗れたA東京はコンディション不良によりセバスチャン・サイズがコーチに立てなかったが、リバウンド数は38-37本で上回る。70本のシュート試投数は、宇都宮より12回も多くチャンスを作っていただけに、このままで終わる気配はない。
迎えた翌4月21日の試合開始早々、機材トラブルによりタイマーが進まず、その度にゲームが止まる。8-2とスタートダッシュした宇都宮のオフェンス時だっただけに、水を差された感は否めない。A東京は、小酒部泰暉が開始2分にも満たない間に2つのファウルを犯し、ベンチに下がる。代わって入った安藤周人が、序盤の不穏な雰囲気を吹き飛ばす。2連続3ポイントシュートを決め、8-10と逆転し、チームを勢いづけた。佐々ヘッドコーチは「今日は安藤選手が当たると思っていたし、それしかないとも思っていた」と想定内だったが、ディフェンスの対応にちょっとしたズレが生じたことを悔やむ。その安藤は5本を沈め、16点と活躍。小酒部も最初の2つのファウルだけに留め、その後はしっかり相手エースを止めた。
デイニアス・アドマイティスヘッドコーチは小酒部と安藤を戦況に応じて使い分け、「安藤はシュート力だけではなく、良いディフェンスをしてくれた。タイプの異なる2人だが、どちらのローテーションでもディフェンスは良い。2人いることがチームにとって心強い」と評価する。サイズが不在の中、初戦に22点のキャリアハイを更新したアルトゥーラス・グダイティスや平岩玄がインサイドで奮闘を見せる。今節を含めて17試合、平均3分53秒と出場機会があまりない平岩だが、コートに立った瞬間から最高のパフォーマンスを発揮する。オフェンスリバウンドをそのまま押し込む2本のシュートを決め、守っては両手を広げて宇都宮のペイントアタックを阻止し、ショットクロックバイオレーションへ追い込んだ。何度も息を吹き返す宇都宮だったが、A東京が70-61で逃げ切り、通算2勝2敗で首位決戦は幕を閉じた。