「自分自身としては、内容が不甲斐ないもので終わってしまったので、すごく悔しさが残っています。CSに出られた喜びもありましたが、そこで何もできなかった悔しさが、今もまだ残っています。自分の勝手な想いではありますが、その悔しい借りを返さないといけない場所だと思っています。CSに入ると、どのチームもより強度が上がってくるので、そこで最初から受けてしまえば絶対に勝てない。今のうちに、よりチームとしてのスタンダードをいかに上げていけるかが重要になってきます。チーム全員で、よりCSを意識してこれから戦わなければいけないです」
中地区チャンピオンの三遠は、CS初戦となるクォーターファイナルのホーム開催が決まった。レギュラーシーズンは残り7試合。「CS出場が決まったからといって、これからの試合で油断して負けてしまうのは良くないこと。CSに向けて自分たちが今、課題となっているところを、試合を通して成長していかなければならない時期でもあります」と大浦は悔しさを払拭するため、ファンに勝利を届けるためにもう一度気合いを入れ直す。
これまでの週末同一カードは21回あり、2連勝を飾ったのは横浜BC戦で16回目となった。3戦2先勝方式となるCSへ向け、経験少ない三遠にとっては良いシミュレーションにもなっているように感じた。だが、大野ヘッドコーチは「2連戦のことは何も考えていない。チャンピオンになった選手がいなければ、CSに出た選手も少ない。そういう意味でも失うものがない。その中で僕が手助けできるのは、レギュラーシーズン60試合を通して自分たちはベストになること。CSは本当に戦術とかよりも、勝ちたい気持ちが一番大事になる。1勝をどうやってつかみ取るか、というその気持ちが一番大事になる」と熟知しているだけあり、理想とするチームの完成形へ向かう姿勢は開幕から変わらない。
大野ヘッドコーチをはじめ、千葉ジェッツ時代に優勝へ導いたスタッフ陣が揃っているのは、選手にとっても心強い。「バスケIQや試合の入り方、流れの中での戦い方や最期に勝つために締めるポイントなど、勉強になることはとても多いです。スカウティングからチームにとっては大きなプラスになっています」と大浦もそのメリットを感じている。経験不足をチーム一丸となって補いながら、新たな歴史を切り拓いて行く。
目標に届かなかった横浜BCも、同じく7試合が残っている。「プロなので、結果としてファンに恩返しすることは当然です。目標が潰えたからといってソフトにプレーすることなく、絶対に勝つというマインドセットを持ちながら準備していくことが、これからも続くキャリアにおいて差が出てくる部分だと思っています」と河村は言い、苦境も成長への糧とする。新アリーナBUNTAIで3試合を消化し、まだ一度も勝てていない。次に戻って来るのは、シーズン最後の川崎ブレイブサンダース戦となる。青木勇人ヘッドコーチは、旧横浜文化体育館時代から思い入れのある地での歓喜を目指す。
「ひとつでも多くの勝利をお届けしたいつもりで毎試合臨んでいるが、今のところはまだBUNTAIで勝利を届けられていないのも事実である。誰ひとりとしてあきらめていないし、最後は神奈川ダービーという思い入れの強い戦いになる。そこで勝てるように、また準備していきたい」
文・写真 泉誠一