いろんな選手が二桁得点を記録し、全員で守ることがひとつの強み
昨シーズンのベスト4を上回る、“タイトル獲得” を目標に掲げてきた横浜ビー・コルセアーズ。しかし、三遠ネオフェニックスとの初戦を82-90で敗れた今節、中地区チャンピオンに引導を渡されるかたちで日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2023-24(以下CS)出場の望みは潰えた。続く2戦目は、いずれも90点台に乗せるハイスコアゲームを99-92で三遠が制する。横浜BCは(22勝)31敗目を喫し、今シーズンの負け越しも決まった。
勝った三遠の大野篤史ヘッドコーチだが、「自分たちのベースであるピックアップポイントを高くすることが全然できておらず、数多くのファストブレイクポイントでやられてしまった」とまだまだ課題も多い。横浜BCの得意な速い展開から32点を許している。横浜BCのカイ・ソットの存在も大きく、三遠は裏を突かれ、ゴール下へワンパスからの失点も目立った。パスが通る前のディフェンスで、「同じサイズのマッチアップでのスイッチミスがかなり多かった。バックカットに対して、目を離してヘルプに走ってしまっていた。もう1つは、オフェンスリバウンドのルールを全然遂行できなくて、高いところでアウトレットパスを出されてしまっていた」と大野ヘッドコーチは指摘し、それらも含め「自分たちのベース」ができていなかった。「チープなターンオーバーからの失点はかなり課題である」と続け、15本のミスから21点を決められ、精彩を欠いた。それでも2連勝し、勝って反省できていることが三遠の強さでもある。
4月14日の試合は佐々木隆成と金丸晃輔を欠いていたが、「選手たちにエゴが無く、自分がやりたいことよりも、自分たちがやらなければいけないことを第一優先に、お互いのためにプレーすることができていた」と大野ヘッドコーチは評価。チーム力もまた、強さのベースになっている。2戦目はヤンテ・メイテンが31点と抜きん出る活躍を見せたが、「その中でもいろんな選手が二桁得点を記録し、ディフェンスでも全員で守ることがひとつの強みです」という大浦颯太も20点の活躍。サーディ・ラベナが17点、コティ・クラークも12点と4人の二桁得点がおり、試合によってその顔ぶれが変わる。エゴなくチームの勝利に対し、選手全員が同じ方向を向いている証拠である。
特別指定を含めて秋田ノーザンハピネッツで4シーズンを過ごし、新たに三遠へ迎えられた大浦。オフェンスの活躍だけではなく、ディフェンスにこそ培ってきた経験を還元している。
「すべてを止められたわけではないですが、今日も河村(勇輝)選手であったり、相手のキープレーヤーをマークすることが多くなっています。もともと自分自身はピック&ロールのディフェンスがそこまで得意ではなかったですが、秋田でのいろんな教えが今、三遠で活きているとあらためて感じます」
秋田時代を感謝し、三遠で成長を遂げる大浦自身にとっても、大きな転機を迎えていた。
60試合を通して自分たちのベストになること
三遠の一員として、BリーグのファーストシーズンにCSへ出場したのは太田敦也のみ。移籍組もコティ・クラークと山内盛久、金丸、大浦に限られる。秋田時代に大浦がCSのコートに立ったのも1試合、琉球ゴールデンキングスとのクォーターファイナル初戦の2分47秒。「沖縄アリーナでのCSでしたが、レギュラーシーズンのときとは全てが違いました」と、2シーズン前を振り返る。