サイズがないからこそ得点に絡む選手になりたい
── 他のチームに気になる選手はいますか。
寺園 気になるというか、参考にしている選手はいます。身長が自分と同じぐらいの富樫(勇樹・千葉ジェッツ)さんや勇輝(河村・横浜ビー・コルセアーズ)の試合は毎回見るようにしてますね。あの身長であれだけ点が取れるってことは何かを持っているということじゃないですか。まず富樫さんはトップスピードからパッとストップできる技術がすごい。それと空間認知能力というか、ビッグマンと自分との距離がどれだけ空いているかを瞬時に測って(シュートを)打つことができる。その能力がすごいと思います。勇輝について言えばやっぱり止まらないドライブに目がいきますね。フィニッシュまで持っていく力もそうですが、それが難しいときは体を当ててしっかりファウルをもらう。縦に切り込むから、守りはちょっと下がるじゃないですか。そこを見逃さずに決め切る3ポイントも見事ですね。勇輝とはこの間も少ししゃべったんですが、年下といっても選手としては自分より一枚も二枚も上手だと思っているので、参考になる話はしっかり聞きます。だけど、戦うときはもちろん負けない気持ちでぶつかっていきますよ。やっぱり僕たちみたいなサイズのない選手が得点に絡んでいく姿は小さい子の目標になるとも思うので、個人的にはこれまでどおり平均二桁得点を目指して頑張っていきたいです。
── 今シーズンのレバンガ北海道について聞かせてください。
寺園 今シーズンは小野寺(龍太郎)ヘッドコーチの意向もあって、誰かの得点に頼るのではなく、誰が出ても同じことができるチーム作りを目指してきました。それを徹底してそれぞれが理解することで、自分の強みを活かして貢献しようという意識というか、誰かが不調でも誰かがカバーして勝ちに行くぞという意識が出てきたと思います。正直、勝てた試合を落としたことも何回かありますが、みんな下を向かなくなったし、(桜井)良太さんを中心に「この負けを無駄にしないで次に行くぞ」という雰囲気が生まれてきました。試合前のそれぞれの準備や試合での粘り強さも昨シーズンを上回っていると思います。なかなか結果が出ないのが苦しいところですが、絶対最後まであきらめない。いつも変わらない声援を送ってくださるファンの皆さんのためにも1試合でも多く勝てるように戦い抜くつもりです。
── 寺園さんの話を聞いているとポジティブな言葉が多くて、こちらまで元気になりますね(笑)
寺園 ハハハハハ。僕は本当にバスケが大好きなんですよ。いい仲間がいて、新しい家族(妻と娘)ができて、応援してくださるファンの皆さんもたくさんいる。その中で大好きなバスケットができる自分は幸せだなあと思うんですね。ネガティブになる要素がないっていうか(笑)。バスケと向き合える時間は、何があっても自分にとって一番幸せな時間なんです。ほんと、それだけは初めてボールを触ったときからずーっと変わりません。自分はきっとバスケがないと生きていけない人間なんでしょうね(笑)。
レバンガ北海道 #4 寺園脩斗
レバンガ北海道を牽引する29歳のバスケ小僧
前編 高校も大学も『出番なし』からのスタート
後編 結果が出ないときも絶対に下を向かない
文 松原貴実
写真 B.LEAGUE