Bリーグ2023-24シーズンもいよいよ終盤に差し掛かった。第27節(3月24日)が終了した時点で、レバンガ北海道の成績は13勝32敗で東地区7位。苦しい状況であることは否めない。だが、「チームの意識は昨シーズンより確実に高くなっている」と胸を張るのは寺園脩斗だ。今季は関野剛平とともにWキャプテンを務め、心技でレバンガを牽引。80-73で勝利した2月3日の横浜ビー・コルセアーズ戦では3ポイント3/4を含め20得点、2月10日の琉球ゴールデンキングス戦では84-94で敗れたものの21得点をマークして場内を沸かせた。延岡学園高校、東海大と強豪チームで揉まれ「這い上がることには慣れている」と笑う寺園が、どんなバスケット道を歩き、プロとなった今、自身にどんなことを課しているのか、順を追ってたっぷり語ってもらった。そこから見えてきたのはバスケットを愛してやまない29歳のバスケ小僧だ。
高校も大学も『出番なし』からのスタート
── まずお聞きしたいのは中学に進学する際、近くの公立中学ではなく延岡学園尚学館を選んだ理由です。12歳で親元(宮崎県都城市)を離れ寮生活を送ったのは、やはり「強いチームで自分を磨きたい」という気持ちからでしょうか。
寺園 そうですね。延岡学園尚学館は高校(延岡学園)と一緒に練習ができると知って「行きたい!」と思いました。と言っても、そのころはバスケット選手としての将来がどうこうというより、とにかくバスケが大好きで、もっと上手くなりたい気持ちが強かったんだと思います。でも、高校に上がると、1つ上の学年にベンドラメさん(礼生・サンロッカーズ渋谷)とか飛竜さん(岡本・アルバルク東京)とかすごいガードがいたので僕の出番はほとんどありませんでした。たまにチラッと繋ぎで出してもらえるぐらいでしたね。それでも2人にはいつも朝練も一緒にやってもらって、いい刺激をいっぱいもらったと思っています。礼生さんには東海大でもお世話になりましたが、拓殖大に行った飛竜さんとも一緒に練習がしたくて、わざわざ拓大まで行ってたんですよ。今でも2人と対戦するときはいつもより気合が入るというか、負けられないという気持ちになります。
── ベンドラメ選手と岡本選手の代の延岡学園は見事三冠に輝きました。それだけにそのあとにキャプテンになった寺園さんはいろんな意味で大変だったのでは?
寺園 大変でした(笑)。前の代があまりにも強すぎて、自分たちの代になったときは「今年は勝てないだろう」と言う人もいましたから。僕らの代は得点の8割ぐらいを僕とバンバ(ジュフ伴馬)で稼ぐみたいなチームだったんですが、チームワークは良かったですし、いろんなプレッシャーをはねのけてインターハイとウインターカップで優勝できたのは本当にうれしかったです。
── 進んだ東海大でも入学して1年目でインカレ優勝を経験しましたね。
寺園 はい。と言っても自分はベンチにも入っていませんでしたが(笑)。僕が入学した年はキャプテンの田中大貴さん(SR渋谷)をはじめ、どの学年もすごい選手ばかりでフィジカルの強さもまったく違うし(練習は)めちゃくちゃきつかったです。朝早く起きてトレーニングして、走らされて、ウエイトトレーニングも高校のときはやったことがなかったし、僕だけじゃなくて1年生はみんな先輩たちについていくのに必死だったと思います。ついていくだけで精いっぱいみたいな。