快勝した初戦は11点、惜しくも敗れたこの試合もエースに対し、「30点を獲るオフェンス力がある富樫選手を10点に抑えられたのは大きかった」とアドマイティスヘッドコーチは及第点を与える。富樫とマッチアップした小酒部を評価しつつ、チームディフェンスが崩れたことでまわりの選手に必要以上に与えてしまった失点を悔やんだ。マッチアップした小酒部は「結局、富樫さんには第3クォーターだけで10点を獲られてしまったので、ディフェンスでのフィジカルさやタフさが足りなかったです。しかも、良いところで決められてしまいました。また、チームディフェンスを全員が徹底できていなかったところが多く、パスを許してしまい、本当に改善点が多い試合だったと思います」とその自己評価は指揮官とは異なっていた
10点とともに、後半だけで7アシスト(総数10本)を決めた富樫はダブルダブルを達成。得点を獲ることができ、パスにも長けているポイントガードは本当に厄介である。状況を見極め、どちらのプレーを選択するかを試合中にマネジメントした富樫が、平均を下回る10点でもしっかりと勝利へ導いた。
土曜日の初戦を落としたからこそ「カムバックしてくる力があり、そこで受け身になってしまいました」と小酒部は追われる恐怖を少なからず感じていた。残り15試合、チャンピオンシップへ指をかける上位を相手に、がっつりと足首をつかんで引き下ろそうとする下位チームが意地を見せるクライマックス。宇都宮ブレックスは仙台89ERSに2連勝し、A東京と2ゲーム差をつけて首位を守る。次戦、千葉Jのホームに宇都宮を迎える。
ジョン・パトリックヘッドコーチは天皇杯決勝の琉球ゴールデンキングスや今節のA東京と同様に、「宇都宮と週末の川崎ブレイブサンダーズもフィジカルな相手となる。リミットまで審判にプレッシャーをかけて戦っていかなければならない。一つひとつの試合に勝つためにも、メンタルタフネスが大切になる」とファウルの境界線を明確にさせ、強度を高く保ってゲームを支配する戦いが求められる。A東京と千葉Jの直接対決は4月17日にもう1試合、同じく代々木第一体育館で行われる。A東京が2ゲーム差で追う宇都宮とはあと2試合、千葉Jも次戦を含めてあと3つ首位との直接対決が残っている。1ヶ月後、それぞれの順位はどうなっているだろうか。
文・写真 泉誠一