Bリーグ発足当初は9クラブしかなかったB3リーグも、今や18クラブにまで拡大。年々レベルアップしている上、いきなり好成績を残してB2に昇格していく新規参入クラブもあるように、上位争いに加わるのも難しいリーグになってきている。
18クラブのうち、B2に所属したことがあるのは6クラブ。それぞれのクラブにアップダウンがあり、常に上位に顔を出しているクラブもあれば、B3降格後は伸び悩んでいるクラブがあるのも事実だ。今シーズン序盤から10位前後で推移している東京八王子ビートレインズは、その1つと言わざるを得ない。
ホームのエスフォルタアリーナ八王子で開催された2月23日の山口パッツファイブ戦は108-98で勝利。108得点は、同じく山口とアウェーで戦った12月17日の125得点に次ぐ、今シーズン2番目のハイスコアだ。ただ、98失点という数字を見ると、素直に喜べないところもある。失点数としてはただでさえ多い数字であるばかりか、この日の山口は外国籍選手2人が欠場。帰化選手も在籍する東京八王子には、大きいアドバンテージがあったはずなのだ。
もちろん、日本人選手だけで74得点を積み上げた山口の戦いぶりは称賛に値する。そして、その相手にとっては、このような状況がかえって戦いにくいものであることも確か。練習やミーティングで共有してきた対策が意味を成さず、ゲームプランが崩れてしまうと同時に、逆境に立たされた側のがむしゃらなプレーに対して受け身に回ってしまうことも往々にしてあるものだ。
しかし、相手の状況がどうであれ、苦戦したことは事実。大金広弥は危機感を募らせる。
「勝てたことは良かったんですが、相手の選手が揃ってない中で、内容としては良くないゲームだったと思います。確かに準備してきたことが崩れたというのはあったんですが、それでもやっぱり良い内容で勝たなきゃいけなかったという反省があります。自分自身も、ディフェンスを頑張ることと、コントロールする部分でペースを乱さないようにやったところは良かったと思うんですが、3ポイントのシュートタッチもあまり良くなかったし、全体的には満足してないですね」
NBL時代のつくば(現・茨城)ロボッツでキャリアをスタートさせ、プロ3シーズン目の2015-16シーズンに東京八王子に移籍してきた大金は、2019-20シーズンに9試合だけベンチスタートに回ったものの、その他の出場試合は全てスターターを務めてきた。しかし、昨シーズンは48試合出場でスターターは13試合のみ。タイラー・ガトリンヘッドコーチが就任した今シーズンも、開幕から全試合に出場しているが、第16節まではスターター起用が一度もなかった。その意図をガトリンHCは「B3リーグでナンバーワンのシックスマンにしようと思ったんです。その目標は達成できたと思います」と説明する。
第17節からは、大金はスターターとして出場。ガトリンHCによると、ハンドラーの役割もこなしてオフェンスの起点となっていたタレン・サリバンの故障離脱に起因している。
「全く違うチームを作らないといけなくなってしまって、この新しいメンバーでは彼がスタートに適していると判断しました。スキルが多く、タレントのある選手で、今はスタートで起用して試合の最初からチームにエネルギーを持ってきてくれていると思います。B3の中でも特に上手い選手の1人。ペース配分など、チームに必要なプレーをしてくれて、すごく助かっています」