日本人でも大事な場面で決めることができる強いメンタリティー
日本代表活動のためにB1はバイウィーク中だが、クライマックスへ向けたB2は熱き試合は続いている。東地区首位に立つアルティーリ千葉は、2月17日の青森ワッツ戦で37勝目(3敗)を挙げ、一番乗りでB2プレーオフ進出を決めた。この週末を迎える前まで西地区の首位は、ライジングゼファー福岡だった。しかし、東地区2位の越谷アルファーズに1勝1敗の痛み分け。この結果により滋賀レイクスに抜かれ、首位陥落。3位の熊本ヴォルターズと勝率が並び、西地区の熾烈な争いは最後までもつれそうだ。
好調な福岡だが、昨シーズンは降格争いの渦中にいた。ロスター14人中9人(※特別指定の渡邉伶音を含む)を新たに迎え、目覚ましい成長を見せている。新戦力たちがキャリアハイの活躍を見せ、スペイン代表ヘッドコーチの経歴を持つラモン・ロペス・スアレスヘッドコーチの手腕が光る。低迷した昨シーズンの反省を踏まえ、開幕前から「勝ちグセをつけるためにも強く戦うこと」を常に伝え、マインドセットを図ってきた。「難しいゲーム展開になると、どうしても外国籍選手に頼ってしまうところがある」とスアレスヘッドコーチがいう傾向にあるBリーグ。それを払拭させるため、「日本人でも大事な場面で決めることができる強いメンタリティー」を植え付け、それがスタッツにも現れている。
昨シーズンまで在籍した香川ファイブアローズでも高い得点力を誇ってきた兒玉貴通は、越谷戦は2試合とも2桁得点を記録し、勝利した2戦目は18点をマーク。出場時間内の得失点を表す+/-(プラスマイナス)は、平均+4.5でチームに貢献する。仙台89ERSから移籍してきた加藤寿一は平均6.4点とB1時代から倍増させ、新たな姿を見せている。昨シーズンは山形ワイヴァンズでプレーしていた村上駿斗も、アシスト平均3.8本と伸ばし、彼らの数字はいずれも現時点でキャリアハイを更新中だ(※2月18日現在)。
「我々のオフェンスはいろんな選択肢があり、もちろん外国籍も重要だが、日本人もスコアできるようなプレーも多く持っている」とスアレスヘッドコーチは改革し、越谷に勝利した2月17日は兒玉を筆頭に、重冨周希13点、谷口光貴12点と二桁得点が並ぶ。チーム総数14本を決めた3ポイントシュートは5割と高い成功率であり、ボールをシェアしたことで24本ものアシストを決めた。兒玉はフィールドゴール15本を放ち、谷口の3ポイントシュート試投数8本はいずれもチームハイ。外国籍選手よりも多くシュートを試みる姿勢に「良いメンタルで臨めている」とスアレスヘッドコーチの改革が浸透し、B2プレーオフ進出までのマジックは「9」となった。
プレータイムが増えたことで「自信を持てるようになったのが大きいです」
川崎ブレイブサンダース〜滋賀レイクスを経たあと、2020-21シーズンに香川へ移籍した谷口はB2で4シーズン目を数える。熊本から移籍してきた谷口も、3ポイントシュート42.7%(91/213本)はB2で現在2位の成功率であり、アシスト平均2本(73本)と合わせて自身の記録を塗り替えている(※2月18日現在)。3ポイントシュートが好調な要因について、「チームとしてボールをきちんとシェアできています。1回のオフェンスでボールを触る人数が多いところが、今の福岡の強み。ボールを触る回数が増えているからこそ、シュートタッチも安定している感じがあります」と語る一方、その数字に満足はしていない。