開幕節で千葉ジェッツを連破し、B1昇格初年度としては上々のスタートを切った長崎ヴェルカ。しかし、シーズンが進むにつれて黒星が増えていき、第17節にクラブ史上初めて勝率が5割を切ると、第22節を終えた時点では16勝21敗となった。そして迎えた第23節は、一昨シーズンの覇者である宇都宮ブレックス。2月10日の第1戦は第1クォーターで16-33と先行を許したところから、前半のうちに一時6点差まで詰め寄り、その後は10点前後の点差で持ちこたえていたが、第4クォーター残り4分頃から突き放され、最後は81-101で敗れた。
40分間の中では長崎が流れを引き寄せた時間帯もあったが、試合の立ち上がりや終盤といった大事な時間帯で、宇都宮との経験値の差が出た。松本健児リオンも、「リーグでもずっとトップを走ってるチームの強さを感じました」と脱帽する。
「勝負どころや、5点差くらいまでいったところで離されちゃうというのは相手の強さだと思うし、こらえきれずに負けてしまったのは課題だと思います。宇都宮相手でも通用するところは多かったと思うし、ヴェルカの時間帯も結構あったと思うので、やっぱり試合の入りと勝負どころの差が大きかったんじゃないかと思います」
最速昇格を果たし、意気揚々とB1に乗り込んできた長崎も、今の成績を見る限りではB1の高く厚い壁に行く手を阻まれ、徐々に勢いを失っているように感じられる。しかし、宇都宮戦の直前は島根スサノオマジックに勝ち、その前の節は名古屋ダイヤモンドドルフィンズに連敗したものの、第2戦はオーバータイムまで粘った。松本は「今は壁を乗り越え始めてる段階」とポジティブに受け止めている。
「12月から1月にかけてはめっちゃキツかったですね。本当に壁にぶつかってるなというのは感じたし、上手くいかない、勝てないというのが続いたんですが、最近はチームでいろいろ改善してきて、負けた試合も内容は以前と全然違って、あとは勝ちがついてくればグッといけそうだというのはすごく感じてます。チームとして良いところは増えてきて、手応えはあるので、負けてはいるんですが良くなっていると思います」
松本自身に関しては、B1の舞台に立つのが初めてにもかかわらず、申し分のない働きを見せている。第23節の宇都宮戦を終えた時点で全試合にスターターとして出場。宇都宮との第1戦も、持ち味のアグレッシブさで13得点を挙げた。最も期待されているディフェンス面でのアグレッシブさが結果としてファウルトラブルを招いてしまっている側面はあり、この日もディージェイ・ニュービルとのマッチアップでファウルがかさんでしまった。昨シーズンまでとのレベルの違いを痛感することは多いが、それをクリアできれば自身の貢献度が増すという感触もある。
「オフェンスに関してはチームでうまく作って、その中で僕はチャンスを見てアタックするという形なので、自分でどうこうしているというわけではないですが、今日はチャンスを見逃さないというところはできてたので良かったと思います。でも、最近はいかにファウルせずにディフェンスできるかというのが課題で、今日も前半に3つしてしまったので、そこはしっかり取り組んでいかないといけない。ファウルせずに守れればコートに立つ時間も長くなって、チームに勢いを与えるプレーがもっとできるかなと思ってます」