GMとなって2シーズン目の2022-23シーズン、横浜BCは天皇杯・Bリーグともにセミファイナル進出という結果を残した。「チャンピオンシップに出られるかどうかのところに最後まで絡んでいきたいとは思ってましたし、もちろん最終的にはCSに行けたらいいなとも思ってました」と言う竹田GMも、「セミファイナルまで行くことは正直イメージできてなかった」というのが本音。おそらく多くのブースターがそう思っているのと同様に、「本当に良いシーズンだったというのが一番」と振り返る。そして、選手時代に全ての経験をポジティブに受け止めていた竹田GMは、セミファイナルで敗れた経験も必ず今後に生かされるものと確信している。
「チャンピオンシップや天皇杯でセミファイナルという舞台を経験できたのは大きかった。クラブとしてもそこへの準備をどうしていいのかわからないし、チームもどういうモチベーションで入っていくのかがわからない。特に天皇杯の準決勝は沖縄というアウェーの地でいきなりガツンと走られて、面食らったというのが見て取れた。それを経験できたのが一番の収穫だったかなと思います。良いシーズンだった反面、シーズンの最後には失速もあったし、3~4年くらいのスパンで区切ったときに、これが必要なクッションだったと思えるように今シーズン、来シーズンとステップアップしていけたらいいと思います」
シーズンを通して振り返ると、選手11人でスタートしたことが奏功した。一昨シーズンは最大で15人の選手が在籍したが、必ず3人がベンチから外れなければならず、遠征に連れていくこともできなかった。選手の今後のキャリアも考えた結果、昨シーズンは少数精鋭にシフトし、そのことで個々の出場時間がある程度確約され、「自分が必要とされてるという感覚はみんな持ってたと思うし、成長しなきゃいけないという責任感も出た。それが少しずつ結果に表れて、12月から一気に良いスパイラルに入っていけた」ということだ。
もちろん、チームの躍進は河村勇輝の存在が大きな要因であることは間違いなく、プレー面にとどまらず「河村がコートの中でも、練習でもコミュニケーションを高めてくれてた」という側面もある。ただ、竹田GMによれば「でもそれは一部分であって、同じことが河村以外のいろんなところで起きていた」とのこと。チーム全体に意識の向上が見られ、それが結果に結びついたというのが竹田GMの見立てだ。
そして、Bリーグ初年度にチームを率いた青木勇人ヘッドコーチを呼び戻したことも、竹田GMのヒットだった。HCと選手の関係だったBリーグ初年度にシーズン途中で契約解除となっている人物を再び指揮官に据えることは勇気の要る決断だったはずで、竹田GMも「腹をくくってお願いした」というが、現役時代に一緒にプレーしたこともある青木HCに関して、竹田GMはその人間性もバスケットへの熱量もよく知っていた分、確信に近いものがあった。
「自分がこういう立場になったときに、横浜に対して想いがある人で、自分がGMとして思ってることを言える相手が良いというのがありました。勇人さんのことは全部知ってるし、苦労してきたところも見てるから、間違いなかったと思います。1回離れたから、声をかけても無理かなと思ってたんですが、それでも戻ってきてくれたというのもあって、良い結果が出たというのは余計に嬉しいですね。勝つことでみんながハッピーになるというのは勇人さんもずっとしてきたことで、それが実際にできて良かったです」