同世代の若い選手も多い横浜BCにおいて、「一番バスケットボール選手として大切なことは自信を持てるかどうか」と河村は述べ、チームとしての成功体験を欲している。今シーズンこれまでの戦いを通じて、「得点にフォーカスすれば、30点を取ろうと思えば僕は取れると思いますし、アシストにフォーカスすれば10本以上取れる。そういった強い自信みたいなものはあります」という言葉どおり、素晴らしい数字を残すことはできている。だが、バスケはチームスポーツであり、一人の能力が長けていても成功はつかめない。
己に課した「やる勇気」と「任せる勇気」。この2つのスイッチをバランス良く使いこなせるようになれば、自ずと「勝たせる勇輝」へと進化を遂げるはずだ。もがきながら26試合を終えて見えた手応えと課題について聞いた。
「最初の20試合はチームとして得点を求められている中で、自分のタイミングでシュートを打ち続けてきました。でも、チームとして結果がうまく出なかったからこそ、やっぱり自分の中でアシストにもう1度目を向けるようになりました。今、自分の中では得点とアシストのどちらもスタッツだけで言えば、数字を残すことはできます。ただ、それを瞬時に判断してチームの流れを作っていくことが、やっぱり僕にはまだまだ足りていないところだと思います。ゲームの流れをしっかりとつかみながら、チームが安定するように瞬時の判断ができるようになれば、自分の強みである得点力とアシストでチームをうまく回しながら、ゲーム全体を支配できるポイントガードになれるのではないかと思っています。だからこそ、今は得点が必要なのか、アシストが必要なのか、誰が乗っているのか、どこを攻めたら良いのか ── その瞬時の判断が、まだまだ僕には足りていない。経験を積み上げていけば成長できる部分ではあると思いますが、そんな時間はビーコルにはなく、僕にもないと思っています。やっぱり今シーズンに優勝したい。負けながら成長していくことだけでは語れないというか、やっぱり優勝を目指しているからこそ、1試合1試合を無駄にはできない。これは早急にもっと僕がやらなければいけない課題だと思うし、そこはもう一つ、二つとステップアップしていきたいです」
得点とアシストをバランス良く駆使することができ、勝利へ導く試合はこれまでも見られている。新たにカイ・ソットが加わったが、新戦力たちとのケミストリーも高まってきている。仲間たちの助けこそ、河村の進化に欠かせない大きな要素でもある。
文・写真 泉誠一