負けたときの責任を自分が背負いたい
今シーズン開幕当初から、「やる勇気」で臨んだ横浜ビー・コルセアーズの河村勇輝は得点を量産していく。青木勇人ヘッドコーチは「河村選手のスコアリング能力を世界に発信していきたい」と強調し、チームのミッションとしてファーストオプションに据える。2024年1月1日時点で平均23.2点、リーグトップスコアラーに君臨し続けている。自ら「エース」と名乗り、すべての責任を背負う22歳。
「年数で言えば、森井健太選手や須藤昂矢選手、キング開選手とともに長くビーコルに在籍している一人でもあると思っています。苦しいシーズンも、ステップアップできたシーズンも経験でき、あとは本当に優勝するだけ。FIBAワールドカップを経験したからこそ、今シーズンは自分が引っ張っていかなければいけない気持ちがさらに強くなりました。ゲームで負けたときはエースの責任であり、勝ったときはチームメイトのおかげだと思っています。特に、負けたときの責任を自分が背負いたい。それがエースの責任かなと思っています」
「やる勇気」を持った「エース」は、群馬クレインサンダース戦の10月14日に30点、翌15日には40点をマーク。しかし、チームは2連敗し、その後も30点以上を挙げてもチームを勝たせることができない葛藤があった。12月9日の秋田ノーザンハピネッツ戦でも31点でチームを引っ張ったが、「やっぱりうまく回らずに勝てなかったです」。結果は85-93。この敗戦を境に、「何かを変えないとチームは変わらないと思い、そのためには自分のプレーやマインドを変えないといけない」と感じた河村は、「任せる勇気」にスイッチを切り替えた。
その後は天皇杯を含め、4連勝。リーグトップの得点力を誇る「やる勇気」。昨年のアシスト王にとって「任せる勇気」こそ、河村の武器でもある。アシスト・ファーストに切り替えたことでチームがうまく回りはじめる。そのアシストも平均6.5本でリーグトップに立っている。
チームが勝つためにやれることにすべてを捧げ、最善を尽くしたい
海外進出を視野に入れる河村であり、評価されるためにもスタッツは分かりやすい。しかし、数字のためにプレーしていないことを、12月20日のファイティングイーグルス名古屋戦後に言及していた。
「僕は得点王とか、そういったものを狙っている思いは全くなく、ただただチームが勝つために自分がすべきことをしたいという気持ちです。今は自分が無理に得点を取りに行くことよりも、まわりのシュート率もそうですが、例えば(キング)開選手のスリーポイント成功率は僕よりも高いですし、フリーで彼が打つことでチームとしての期待値もそうですし、若い選手なので1本シュートが入ればガラッと自信の持ち方や、その後のディフェンスの強度が本当に変わります。僕が打てるときはもちろん打ちますけど、どっちにも選択肢があるならば、今は彼に託すことを試みています。とにかくスタッツどうこうよりも、チームが勝つためにやれることにすべてを捧げ、最善を尽くしたいです」