たった3点に終わった第4クォーターの敵は6人目の選手
中地区2位の川崎ブレイブサンダースは富山グラウジーズに2勝目を献上し、泥沼の5連敗。同地区首位の三遠ネオフェニックスを、3位のシーホース三河が94-87で撃破。14勝8敗とした三河は、2位の川崎に勝率で並んだ。上位が揃って敗れた12月20日の水曜ゲーム。4位のファイティングイーグルス名古屋をはじめ、下位チームにとってはその差を詰めるチャンス到来。5位サンロッカーズ渋谷、6位横浜ビー・コルセアーズがそれぞれ勝利し、ともに10勝12敗と勝ち星を二桁に乗せた。勝てば2位川崎まで1ゲーム差に迫ることができたFE名古屋だったが、横浜BCに62-71で敗れる。12勝10敗で足踏みし、浮上するきっかけを逃す悔しい敗戦となった。
川辺泰三ヘッドコーチが「入りは良かった」というとおり、佐土原遼のダンクではじまった第1クォーターは、横浜BCを12点に抑えるディフェンスが冴えた。平均24.4点でリーグトップに立つ河村勇輝に、前半は6点しか与えなかった。39-31とFE名古屋が8点リードで折り返す。「絶対に河村選手の調子が上がってくる」と川辺ヘッドコーチは選手たちに伝える。警戒して臨んだ後半だったが、「河村選手の1on1に対してなかなかスイッチで守り切れない。分かっていたのにやられてしまったのが、相当大きかった。そこまで準備ができてない中で、この本番のライブで、あのスピード感ある1on1は正直ディフェンス面ではちょっと難しかったのかな」と川辺ヘッドコーチは話し、時間とともに劣勢を強いられていく。
後半は河村に17点を決められ、合計23点はゲームハイ。さらに10本のアシストをマークし、ダブルダブルの活躍を許す。横浜BCの青木勇人ヘッドコーチは、「自分でアタックするよりも、まわりを活かす彼の良さが出た」と河村を評価し、新戦力との連携が高まっていることが、天皇杯を合わせた4連勝と好調な要因である。「最終的に横浜BCのやりたいバスケをやられてしまい、河村選手を起点に試合を運ばれてしまったのが敗因。河村選手が攻めてくるのは分かっていたのですが、後半はそこを起点でやられてしまったので、ディフェンスは課題になりました」とFE名古屋の杉本天昇は反省点を挙げる。最終的に71失点、第4クォーターも15点しか与えなかったディフェンスは及第点とも言える。大きな敗因は、最後の10分間でたった3点に終わったオフェンスである。
川辺ヘッドコーチは、「どちらかと言えばディフェンスからトランジションを出すスタイルであり、ハーフコートバスケでもアドバンテージを奪うための組み合わせがだいたい決まっている。でも、今日はそこを攻めきれなかった」と指摘し、何をしても得点につながらないもどかしい10分間でもあった。シュートは打てており、その中にはイージーシュートもあったがなぜかポロリと落ちてしまう。その状況に対して杉本は、「シンプルに横浜BCのブースターさんがすごかったです。自分たちのバスケができませんでした」というのが正直なところ。対して、河村は「もしかしたらアウェーだったら、このような結果になってないかもしれない。6人目の選手のようにファンの方々がどんどん僕たちの流れを作ってくれました」と感謝しきりである。
3点しか奪えなかった第4クォーターを振り返り、「10数点開いた後に、それを10点台から20点にするところが今の課題です。僕も含めて、今シーズンから新たに加わった選手がいる中で今は土台作りの時間であり、もっとチーム一丸となって集中力を高めていかなければなりません」と佐土原は言い、あらためて課題が浮き彫りになった。それらを総じて、「選手たちはよくがんばってくれていたので、この負けは僕の責任。しっかりここから振り返って、次の週末をどう戦えるのかを考えていきたい」と川辺ヘッドコーチはすべてを受け入れ、2位川崎を迎えるホームゲームでこの試合で見えた課題と悔しさをぶつける。