現状のチームディフェンスについて、「練習してきていますが、まだまだ完成していないです。今シーズンが終わったときに『すごく良いディフェンスだったね』と、言えるように今は突き詰めています。徐々に良くはなってきてるんですけど、もっともっとチームが一つにならないとできないディフェンスであり、1人でも欠けてしまえばもう崩れてしまいます」ともどかしい中にも手応えは感じられていた。
悲願のBリーグ制覇を目指す川崎であり、今シーズン限りで引退を表明している “キング” ニック・ファジーカスに有終の美を飾らせるためにも負けられない。新戦力としてやって来た野﨑はカテゴリーこそ違うが、FE名古屋と群馬でのB2時代に2年連続B1昇格を果たした。チャンピオンシップとはまた違ったプレッシャーの中での戦いを経験し、「接戦を勝ち切るチーム」を念頭に置いている。勝負の世界は文字どおり、どちらかは必ず負けがつく。「その負けを次に引きづらないことが大事です。そして、接戦を勝ち切れるチームが最後に優勝すると思っています。B2優勝争いを経験し、そこでもやっぱり接戦を勝ち切ったチームが強いことをひしひしと感じました。そこは大事にしていきたいです」と力を込め、少しずつリーダーシップも発揮している。
白鷗大学でも、特別指定選手としてはじめてBリーグに入ったFE名古屋の1年目も背番号は零也の0だった。しかし、翌シーズンに加入したハーバート・ヒルが0番を希望し、特別指定の野﨑は二つ返事で明け渡す。群馬では、引退した地元のレジェンドである小淵雅氏が背負っていた。「その背中をずっと見ていたときに、この番号はもうつけられないなと感じました」と偉大な選手に比例するように、背番号0の重さに腰が引ける。川崎では藤井の番号であり、「これはもう今後のキャリアにおいても、絶対に0はつけれんな」と割り切った。では、12番の由来とは?
「そこは由来がないです。あえて言えば、FE名古屋の特別指定として2年目に行ったときに飾ってあったビブスが12でした。『とりあえず12番にしてください』って言ったことが由来ですかね(笑)。でも、それが自分のものになりつつあるのかなと感じています」
つけるべき0がなかったが、何ごとも零からスタートすれば良い。背番号12が野﨑にとってのゼロベースであり、1(ワン)・2(ツー)としっかりステップを踏みながら、そのキャリアを色鮮やかなものにしている。
川崎ブレイブサンダース #12 野﨑零也
何ごとも〈零〉からスタートすれば良い
前編 https://bbspirits.com/bleague/b23121201rei/
後編 https://bbspirits.com/bleague/b23121302nzk/
文・写真 泉誠一