アグレッシブにプレーすることが今シーズンのテーマ
ジェームズ・マイケル・マカドゥがケガで戦線離脱し、開幕直後から戦力が揃わずに苦戦を強いられていたサンロッカーズ渋谷。シーズン途中にジェフ・ギブスを迎え、オフに日本代表活動でチームを離れていたジョシュ・ホーキンソンら新戦力のケミストリーを高めるバイウィークを活かし、仙台89ERSを相手に今シーズン初の2連勝を飾った。
仙台のヴォーディミル・ゲルンは、リバウンド平均11.9本でリーグトップに立つ(※12月3日現在)。その強みを起点に、初戦の前半は54-42と仙台がリードしていた。しかし、マカドゥの代わりとして5番ポジションを担う最年長43歳のギブスが躍動する。10cmの身長差を補うフィジカルと巧みなポジショニングでゲルンの長所を消し、逆にリバウンドを奪ってSR渋谷に流れを引き寄せた。ホーキンソンは28点でシーズンハイを記録し、92-82で逆転勝利。翌日の2戦目は89-67で快勝。中地区5位、6勝10敗とまだ借金は多いが、戦力が揃ったSR渋谷の巻き返しがはじまった。
開幕4連敗以来、同一カードの連敗を喫した仙台。バイウィーク前は勝率5割だったが、7勝9敗と負けが先行してしまった。チャンピオンシップへ向けて暗雲立ちこめる勝率だが、チームの成長過程は明るい。ウクライナ代表のゲルンがゴール下を支配するリバウンド力は心強い。一方、昨今のBリーグは機動力あるビッグマンが増えており、藤田弘輝ヘッドコーチは「相手はピック&ポップで弱点を突いてくるのに対して、自分らはどうあがいてもアジャストができないラインナップでもある。もっとハードに自分たちのディフェンスをやり切ること」を課題として挙げた。攻守ともにゲルンのパフォーマンスを高める策を、藤田ヘッドコーチは講じてもいる。
SR渋谷同様、仙台もラショーン・トーマスがインジュアリーリスト入りし、11月よりデボーン・ワシントンが新たに加入。ゲルンに代わってコートに入ると、同じようにリバウンドでチームを支え、オフェンス力の高さも発揮。彼らだけではなく、さまざまなポジションの選手たちが遜色のない働きを見せ、同じページでプレーできている。チームの現状について藤田ヘッドコーチは、以下のように語る。
「サイズもフィジカルもアスレチックさもB1では相手の方がだいたい上であり、そのようなチームに対してハーフコートバスケットで構えてしまえば、どんどん重くなってしまう。相手がセットする前に良いリズムで、自分たちのシュートを打つこと。そしてアグレッシブにプレーすることが今シーズンのテーマ。今のところは良くできていると思っている」
その言葉どおり、確率こそ区々だが、コートに立つ全員がゴールへ向かい、しっかりとシュートを打てている。阿部諒は16点、10点と2試合とも二桁をマーク。それ以外にも初戦は渡辺翔太が11点、2戦目は青木保憲が同じく11点と、日本人選手たちのアグレッシブなオフェンスが数字に表れている。