チアリーダーとして確固たる信念を持つFukaの指導は、時として厳しくなることもあり、自身でも「私ってちょっと怖く見えるみたいで(笑)、相手が構えちゃう」と話す。しかし、前編にもある通り、チアリーダーとしてのFukaと素顔のFukaは異なるところがある。信念があるのがFukaであると同時に、「自分に自信がない」のもFukaの偽らざる姿だ。
「私の立場上、自信がないなんて大きな声では言えないじゃないですか。人前に出る人間として、凛としていなければいけないし、気が緩まないようにしているので、それが周りからしたら怖く見えてしまうのかもしれないです。逆に、家にいるときは寝起きも悪いし、プライベートは本当に口数が少ない(笑)。両親がA型とO型なんですけど、プライベートで付き合う人からは大雑把な部分が多いのでO型っぽいって言われるんですよ。でも、仕事だと完全にA型。オンとオフの差が激しすぎるともよく言われます」
とはいえ、ディレクター業も長くなってきたFukaはその差を埋める作業も心得たもので、レッスン以外での会話の機会を極力持つことで信頼関係を構築する術を持つ。Stay Goldとしてプロデュースしているチーム等ではその成果が表れたという実感もあり、アルファヴィーナスに関しても「今はそれをやるべき時期」と考えるようだ。
「私が金沢に行くときは金沢武士団チアリーダーキャプテンのMarikoがいつも車で送り迎えをしてくれるんです。Zgirlsでもベテランメンバーに対して似たような接し方をしてきたんですが、ただの業務連絡だけではなく、その決定に至るまでの裏にある背景や私の想いを伝えたり、いろんな話をします。その積み重ねで、意思疎通できる部分を増やしていきたい。金沢は特に周りにチームも少ないし、交流の機会もなく、チアのことを知らない子がメンバーになることが多いので結構大変ですが、Stay Goldや他のプロデュースチームとも交流してもらったりしてチアの文化に馴染んでもらって、成功体験を積み重ねてもらっています。継続メンバーも増えてきたので、チームの文化も根づいてきました。私も含めてStay Goldのメンバーが毎回レッスンや試合に行けるわけではない分、メンバーの対応力も養われて、自分たちで考えて行動できる良いチームになったと思います」
集客や会場演出、グッズ展開など競技面以外でも積極的に仕掛け、B1に相応しいクラブを目指す越谷。その中で、専属プロチアリーダーを2人抱えるという施策は、アルファヴィーナスの存在価値も重視されている証だ。彼女たちが新たなディレクターの下でどう進化するのか、Fukaの指導力と人心掌握術は大きなカギを握ることになる。
バスケットチア発展の宿命を背負って
前編 https://bbspirits.com/bleague/b23112701fua/
後編 https://bbspirits.com/bleague/b23112802cua/
文・写真 吉川哲彦
写真提供 株式会社GRIT