「チアリーダーって何がお手本なのかがあまり確立されてない感じがあって、何を以てプロと名乗れるのかは難しいんですけど、自分の中にある『チアリーダーとはこういうものではないか』という考えと、プロ契約の中で掲げられているものが合致するのかどうかは少し心配でした。実際にHazukiと接してみると、まだまだ知らないことも多いんだなと感じましたね。これはもちろんプロ契約の有無に関わらず、アルファヴィーナスの他のメンバーも同様なんですけど」
一口にチアリーダーといっても、チームによってカラーは異なる。仕事や学業との両立も決して簡単なことではない。そのことはFukaも当然理解している。しかしながら、どんなチームであろうと、肩書がプロであろうとなかろうと高い意識を持って活動に取り組むことは、Fukaにとって基本中の基本。アルファヴィーナスに関しては「前回の練習で確認した部分を次の練習までにどこまで仕上げてくるかという点では、彼女たちに対してもまだまだできることがあるなと感じた」とのことだが、まだ十分ではなくても「一つずつ追求していけば、全体的な意識レベルは必ず上がります」と期待を込め、プロ契約をしているHazuki個人に関しても「心はすごく綺麗で素直な子なので、成長できると思って今はいろいろ伝えているところです」と、Fukaが持つあらゆるものを伝授する意向だ。
逆に、ディレクターではあるもののアルファヴィーナスでは1年目のFukaも、メンバーの力を必要としているという側面がある。理想のチームを形作っていくには、全員で手を取り合わなければならない。
「私よりも継続メンバーのほうがここ数年のアルファーズをよく知っているし、実際に私たちディレクターも『これって今まではどうしてた?』ということも多いので、そこの部分ではとても頼りにしているということは本人たちにも伝えています。最初のミーティングでは何を目指すのか、どういうチームにしたいのかを全員に考えてきてもらって共有しましたし、もし何か迷うことがあっても『アルファヴィーナスはこうだよね』って立ち返れるものがあれば、今シーズンのヴィーナスらしさが作られて、良いチームになっていけると思います」
このオフにErinも結んだプロ契約という形態についても、Fukaはチアの世界の発展につながるという期待感を抱く。HazukiとErinがプロチアリーダーとしてイベント等に招かれた場合はアルファヴィーナスとは別軸での活動になるが、アルファヴィーナスでの指導がプロとしての活動にも生かされれば、彼女たちはさらに成長が見込める。
「私もプロとしてテーマパークダンサーをやっていたことがあるので、ダンスを仕事にするのがどういうことかというのは学ばせていただきました。そこからすると、チアリーダーの世界は全体的にまだまだやるべきことがあると思うし、1つの試合、1つの練習に全身全霊で魂を込めて、やれることを全力でやるというレベルにあるべきだと思うんです。プロ契約というものはそれを助けてくれる手段でもあると思うので、チアの活動に専念できる環境を確立してレベルを上げ、それに見合う環境が整うようになると、チアリーダーがさらに憧れの職業として成り立つと思います。それを体現できるのは現役のメンバーであり、私は口で伝えることしかできない。何においても自分の行動が結局は良くも悪くも自分に返ってくるから、それを理解して活動と向き合ってほしいし、私はそれをサポートしていきたいです」