60点台に抑えた川崎のチームディフェンス
川崎ブレイブサンダースvs群馬クレインサンダーズの “雷軍” 対決は初戦が84-63、続いて71-61で川崎が連勝。2戦目を終え、佐藤賢次ヘッドコーチは「ディフェンスでガマンをして、気持ちを切らさずに61点に抑えられたところが勝因」と述べ、篠山竜青も「チームとして群馬を61点に抑えられたところが素晴らしかった」と、2試合とも60点台に抑えたディフェンスで勝利をつかんだ。
今シーズンより広島ドラゴンフライズから群馬に移籍した辻直人が、野本建吾とともにプロとして育ったとどろきアリーナに凱旋。辻と同期入団のニック・ファジーカスは試合中も笑顔で会話し、かつてのチームメイトとのマッチアップも見応えがあった。藤井祐眞は「練習を思い出した」と、日頃からゲームライクの強度で切磋琢磨してきた姿を披露する。佐藤ヘッドコーチが「皆さんご存じのとおり、お祭り男なので」と紹介するその辻に、第2戦は22点と活躍された。
特徴をすべて把握するかつてのチームメイトに対し、「1本目をどう抑えるか」を指揮官は強調し、初戦は6点に抑える。22点を与えた第2戦もその部分は成功していたが、「本当に今日はなんとか勝ちたいという思いでした」というお祭り男の気迫が上回る。佐藤ヘッドコーチも「集中力が全然切れず、1個目のアクションをがんばってディフェンスで止めてもすぐに動き出して2個目、3個目、4個目と攻められ、なかなか守るのも難しかった」と辻を称えた。篠山も「まだまだリーグを代表するシューティングガード。辻さんが活躍して、でも川崎が勝つ。川崎ファンが1番期待し、望んだかたちの試合になったと思います」と川崎にとっては満足度の高いホームゲームだった。
辻とのマッチアップに特別な感情がなかったわけではない。それ以上に、「ディフェンスの土台がどれだけできているかが大事」だと篠山は考え、オフから取り組んできた5人が連動して守るチームディフェンスに自信を見せる。同じ中地区には横浜ビー・コルセアーズの河村勇輝や、三遠ネオフェニックスの佐々木隆成などなど、爆発的な得点力を持った日本人ポイントガードが席巻する今シーズン。FIBAワールドカップを経て、「トレンド的にも各クラブのシステム的にも、その傾向になってきています」と篠山は解説者の顔をのぞかせる。しかし、そんなトレンドも意に介さず、「とにかくチームで守るだけ。そもそも僕がマッチアップするかさえ分からない」というほど、今シーズンの川崎には良いディフェンダーが揃っており、自信の裏付けにもなっている。12勝2敗、現在中地区1位と上々のスタートを切った。一方で群馬など選手が揃わないチームとの対戦も多く、「この結果に過信してはいけない」と気を引き締める。
川崎はケガ人なく全員で戦えており、新戦力との意気が合っていることも好調の要因だ。野﨑零也と飯田遼について、「そもそも持っているディフェンスのメンタリティや土台の部分がやっぱり違う」と篠山は太鼓判を押し、すでに川崎が求めるスタンダードでパフォーマンスを発揮する。群馬戦でも、辻に対する野﨑のディフェンスを佐藤ヘッドコーチは高く評価していた。28歳の即戦力たちが「期待以上の活躍を見せてくれています」と篠山は歓迎し、チームの信頼を勝ち取った新たな仲間たちと一緒に、まだ見ぬ最高峰を目指す。